最新更新日2020/01/06☆☆☆

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2017年に日本で公開された映画作品のなかで、代表的なものをセレクトしてそのあらすじとレビューをまとめてみました。
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カメラを止めるな! (上田慎一郎監督)

山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影が行われていた。そこは旧日本軍が死体の蘇生実験を行っていたという都市伝説で知られる場所だ。撮影はクライマックスシーンに差し掛かっていたが、監督は女優の演技が本物の恐怖を表現できていないと苛立つ。そんな最中、カメラマンが突如ゾンビと化して撮影スタッフを襲い始める。スタッフたちが逃げまどう中、ただ一人監督だけは「これが映画だ!嘘が一つもない」と言い、ハンドカメラを片手に嬉々として撮影を始めるのだった。周囲の制止も聞かず、「カメラは止めない!」と怒鳴って撮影を続けようとする監督だったが.......。
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製作費わずか300万円のインディーズ映画ながらも、卓越したアイディアが話題となり、一大ブームを巻き起こしたゾンビ映画のカルト傑作です。
国内興行成績もインディーズ映画としては異例の30億円超を記録しています。ただ、低予算の悲しいところでクオリティはかなり低いため、前半はZ級のゾンビ映画を見せられてうんざりする可能性があります。しかし、そこからの怒涛の伏線回収が見事なのです。その巧妙なプロットには思わず唸らされます。それだけに、ネタバレを聞いてしまうと本作の面白さは一気に減退してしまいます。できれば予備知識がないうちに観ておきたい作品です。
第61回ブルーリボン賞作品賞受賞
カメラを止めるな!
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追憶(降旗康男監督)
富山県捜査一課の四方篤はある日、他殺死体となり果てた旧友と対面する。しかも、その容疑者はふたりの共通の幼馴染だった。思わぬ形での邂逅に3人の過去と現在が交錯する....。
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サスペンスミステリーとして観れば展開が唐突で物足りない部分もありますが、秘密を抱えた3人の少年がやがて刑事、被害者、犯人として再開する展開は人間ドラマとして良くできています。役者の演技も巧さが光り、古き良き時代の日本映画といった良作に仕上がっています。
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愚行録(石川慶監督)
エリートサラリーマンの家庭を突如襲った一家惨殺事件。犯人は不明のまま1年が過ぎた。改めて事件を洗い直そうとする週刊誌記者の田中。関係者に取材を続けている内に浮かび上がる意外な事実。理想的に見えた一家には多くの裏の顔があったのだ。
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貫井徳郎原作のミステリー映画です。妻夫木聡演じる雑誌記者が関係者に取材をしていく形式をとっており、その中で徐々に真相が浮かび上がってくる展開がスリリングです。終始不穏な雰囲気を漂わせる演出やカメラワークも秀逸ですし、出演者の熱演も光ります。ただ、登場人物が皆クズばかりなので、観ている側が暗澹たる気分にさせられる点は好みの分かれるところではないでしょうか。
愚行録 [DVD]
平田満
バンダイビジュアル
2017-08-29
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虐殺器官(村瀬修功監督)
途上国で頻発する虐殺や紛争。その陰には常にアメリカ人のジョン・ポールがいた。特殊部隊のシェパード大尉が謎に包まれた男の行方を追うが......。
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未完作品を含め、わずか3冊の長編小説と1冊のノベライズ作品を残して夭折したSF作家・伊藤計劃の名を世に知らしめた名作のアニメ化作品です。原作を完全再現とまではいきませんでしたが、2時間弱という限られた時間の中で起承転結をそつなくまとめています。ただ、原作好きな人にとってはカットしている部分が多くて消化不良感を覚えるかもしれません。それから、原作の性格上いたしかたないところですが、台詞が多くて説明過多になっているところも好みのわかれるところでしょう。とはいえ、アニメーションで描かれた原作独自の世界観はかなり引き込まれるものがあります。ハードSFが好きな人であれば観て損はない佳品です。
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カフェ・ソサエティ(ウディ・アレン監督)
1930年代のアメリカ。刺激に満ちた人生を夢見る青年ホビーは、映画のエージェントとして成功をおさめた叔父のもとで働き始める。そして、叔父の秘書ヴォーニーに心ひかれるが、彼女には密かに付き合っている男性がおり.....。
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ウディ・アレン監督お得意のロマンティックコメディです。往年の作品ほどのパワーはありませんが、それでも皮肉たっぷりのアレン節は健在で、独特のテンポや言い回しには安定した面白さがあります。鮮やかな場面転換や情感のこもったラストなども素晴らしく、また、本作の題材も相まって古き良き時代の映画を想起させてくれる良作に仕上がっています。
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美女と野獣(ビル・コンドン監督)
魔女の呪いによって醜い野獣にされてしまった王子。絶望し、失意の日々を過ごす王子だったが、心優しき町娘ベルトの出会いが彼の凍った心を次第に溶かしていく。
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ディズニーの名作アニメの実写化です。アニメ版の美麗な世界を最新技術のCGを用いて見事に再現しています。さらに、アニメ版で説明不足だった点を改善するなど、隅々まで丹念に作り込まれており、極めて高い完成度を誇っています。
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人生タクシー(ジャファル・パナヒ監督)
数々の映画賞を受賞してきたイランが誇る名匠ジャファル・パナヒ。しかし、彼の映画は現体制を批判するものだとして製作を禁止されてしまう。そこで、パナヒはタクシー運転手に扮してゲリラ撮影を敢行。個性的な乗客たちの悲喜こもごもを鮮やかに映し出していく。
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市民の生の声を拾い、現在のイラン社会の問題点を浮き彫りにしていくドキュメンタリー映画です。映画の内容は本当にタクシーの中だけなのですが、乗客との会話を通じてイランがどういう国なのかが見えてくるプロセスに引き込まれていきます。また、クセモノ揃いの乗客たちをピックアップしてユーモラスに描いていく手腕はさすがです。政府から映画を撮影することを禁止されながらも映画製作に執念を見せるパナヒ監督の映画愛に溢れた一本です。
2015年ベルリン国際映画祭金熊賞受賞
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2017-10-04



T2トレインスポッティング(ダニー・ボイル監督)
仲間を裏切り、麻薬で稼いだ金を持ち逃げしたレントン。20年ぶりに故郷に戻って見ると母はすでに他界していた。レントンはサイモンと再会し、危ない新事業を始める。一方、刑務所にいたベグビーは脱獄してレントンへの復讐を果たそうとするが........。
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薬漬けの若者の日常をスタイリッシュに描いて一世を風靡したカルト映画の続編です。ただ、前作は勢いまかせな感もあり、物語としてはやや消化不良でした。それに対して、本作は20年越しの伏線回収を果たし、物語としての着地を見事に決めています。また、スタイリッシュな映像はさらに進化し、トレインスポッティングらしさはいささかも衰えていません。特に、終盤からラストにかけての疾走感が最高です。20年の時を経て作られた奇蹟の傑作です。
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ライオン 25年目のただいま(ガース・デイヴィス監督)
5歳の時にインドで迷子になり、オーストラリア人の夫婦に引き取られて育った青年が、心の空白を埋めるために、Google Earthと幼い時の記憶を頼りに実の家族を捜し求めるが....。
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実話に基づいた映画でエンディング後にモデルとなった人物の映像が映ります。映画的にはそこそこの出来で、前半の実の家族と生き別れになるくだりが少々冗長という問題もあります。しかし、この奇跡のような物語が実話だという事実により、気が付くと画面に引き込まれているのです。脚本や演出よりも、むしろ役者たちの好演が光る作品です。
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ムーンライト(バリー・ジェンキンズ監督)
マイアミの貧民街に住む黒人の少年シャロン。彼は育児放棄の母と学校でのいじめで居場所をなくしていた。心の支えは唯一の友人であるケヴィンと麻薬ディーラーの夫婦だけ。やがて、思春期を迎えたシャロンはケヴィンに友情以上のものを感じるようになるが…。
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逆境の中で子供から青年へと成長する姿を描いた新世代青春映画。とはいうものの、黒人・ゲイ・売人の三題噺に幼少期のいじめなどが加わってどう考えても暗澹たる予感しかしません。しかし、それをテンポよくさらりと描き、センスの良い映像と音楽でまとめているので鑑賞後に良い映画を観たという満足感を得ることができます。ただし、淡々として盛り上がりに欠けるストーリーに関しては賛否のわかれるところです。
第74回ゴールデン・グローブ賞受賞
第89回アカデミー賞受賞
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2017-09-15
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サラエヴォの銃声(ダニス・ダノウィッチ監督)
第1次世界大戦の引き金となったサラエボ事件から100年。記念式典の準備が進むホテルでストライキを画策する従業員。問題を抱えた多くの人間が集まる中、1発の銃声が響き渡る。
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『ノー・マンズ・ランド』のダニス・タノビッチ監督による群像ドラマです。海外では非常に評価の高い作品であり、ベルリン国際映画祭では銀熊賞を受賞しています。しかし、この物語の奥底に流れるテーマを理解するためにはボスニア・ヘルツェゴビナの情勢を予備知識として知っておく必要があり、日本人にはいささかハードルが高いといえます。背後にある事情を理解して観れば、人々のぶつかり合いや嘆く心情が響いてくるはずです。民族紛争の根深さを描いた群像劇として秀逸です。
2016年度ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞
サラエヴォの銃声 [DVD]
ムハメド・ハジョヴィッチ
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2017-09-02
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インビジブル・ゲスト 悪魔の証明(オリオル・パウロ監督)
不倫相手の殺害容疑で逮捕された青年実業家のアドリアン・ドリア。殺害現場は密室状態のホテルで彼以外の犯行は不可能だった。圧倒的に不利な状況の中、裁判が始まるまであと3時間。その時、敏腕女性弁護士のグッドマンが彼の前に現れる。彼女はドリアを無罪にできると言うが…。
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『ロスト・ボディ』で注目されたパウロ監督によるスペイン映画です。サスペンスに満ちた雰囲気の中で真相が二転三転し、最後に張り巡らされた伏線がしっかりと回収される、かなり上質なミステリー映画に仕上がっています。なんといっても、ミステリーの定番展開とは違う方向から騙しにきているのが秀逸です。ただ、伏線を丁寧に張りすぎている故に、勘の良い人なら途中で仕掛けに気が付いてしまう可能性はあります。それ如何によって作品の評価は大きく変わってくるでしょう。
インビジブル・ゲスト 悪魔の証明 [DVD]
フランセスク・オレーリャ
アルバトロス
2017-08-02
インビジブル・ゲスト 悪魔の証明(字幕版)
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キングコング 髑髏島の巨神(ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督)
ベトナム戦争が終結して間もない時代。神話上の存在だと思われていた髑髏島が発見される。未知の生物を探索するために調査隊が派遣されるが、そこは怪物たちが蠢きあう地獄だった。
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未だかつてない迫力で人間VSコング、モンスターVS人間、コングVSモンスターを描き切った大スペクタルな怪獣映画です。今までの映画では身長8m、体重4トン程度(ジョン・ギラーミン版では16メートル)で怪獣と呼ぶにはいささか小柄だったコングですが、本作では身長31メートル、体重150トン以上という巨体を誇り、堂々たる暴れっぷりを披露してくれます。ストーリーはあってなきがごとしですが、そんなことは気にする必要はありません。なぜなら、本作は髑髏島で次々と起こるイベントを素直に楽しむべきアトラクション映画だからです。
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2017-12-16
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人類遺産(ニコラス・ゲイハルター監督)
登場人物0人。世界70カ所以上の廃墟を巡って紡いだ映像美。人類滅亡後の世界を想起させる静寂に満ちた世界。
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『いのちの食べ方』のニコウラウス・ゲイハルターが描く異色のドキュメンタリー映画です。4年の歳月をかけて撮影したというその映像には主演者も登場しなければ、雰囲気を盛り上げるためのBGMもありません。ただただストイックに廃墟の映像を映し出すだけです。そのため、映画にカタルシスを求める人にとっては1時間半に及ぶこの作品はかなり苦痛に感じるでしょう。その代わり、廃墟好きな人にとってはインスピレーションを刺激される素晴らしい映像作品に仕上がっています。特に、風や雨音、あるいは鳥の羽ばたきや水滴の落ちる音といった自然の音を巧みに取り入れた編集が秀逸です。
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2017-11-25
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お嬢さん(パク・チャヌク監督)
1939年の日本統治下の韓国。大富豪の令嬢である秀子に侍女として近づく女と、秀子の叔父・教明に取り入る男。ふたりは令嬢の財産を強奪しようと企む詐欺師だった。しかし、次第に秀子に惹かれ始めていた女は彼女が男の策略に嵌っていくのが見過ごせなくなり........。
◆◆◆◆◆◆
『オールドボーイ』のパク・チャヌク監督がサラ・ウォーターズの名作『荊の城』を原案にして撮ったエロチック・サスペンスです。豪華な美術と先の読めない展開に引き込まれます。そのうえ、前半で伏線を張り巡らせて後半で一気に回収するという構成もミステリー映画として秀逸です。ただ、日本語と韓国語が混在している映画なのですが、韓国俳優陣の日本語がかなりたどたどしいために、ムードを壊してしまっている面はあります。また、江戸川乱歩的なエログロ趣味な雰囲気も好みのわかれるところです。
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2017-07-05

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ラ・ラ・ランド(ディミアン・チャゼル監督)
売れない女優のミア。店をクビになったジャズピアニストのセバスチャン。ふたりは互いの才能に惹かれ合い、恋に落ちるが…。
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『セッション』で一躍有名になったデイミアン・チャゼル監督がミュージカルに挑戦したロマンチックラブストーリーです。物語自体はありきたりですが、夢を追うという普遍的なテーマを軸にミュージカル映画としてそつなくまとめた完成度の高さには唸らされます。夢を追い続ける主人公とヒロインの姿に共感できればかなり引き込まれるのではないでしょうか。そして、なんといっても最後の切ない展開にはぐっときます。逆にいえば、主役2人に共感できなければ面白味のない凡庸な作品だと感じてしまうかもしれません。
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2020-12-16
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タンジェリン(ショーン・ベイカー監督)
クリスマスのロサンゼルス。トランスジェンダーの娼婦であるシンディはドラッグの不法所持で逮捕され、1カ月の服役の後に出所する。その後、親友のアレクサンドラと合流し、ドーナツショップで一つのドーナツを分けあうのだった。ところが、会話の中でアレキサンドラはシンディの恋人のチェスターが本物の女性と浮気をした事実を漏らしてしまう。怒り狂うシンディをなんとかなだめようとするアレクサンドラ。しかし、シンディはチェスターの浮気相手を見つけて懲らしめると宣言すると、そのまま街に飛び出してしまう....。
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すべてをiphoneで撮影した低予算作品ながら、独自の切り口が観るものに鮮烈な印象を与えるインディーズ映画の傑作です。物語はロサンゼルスに生きるゲイの日常を描いたものなのですが、ポップな感覚とテンポの良さ、それになんといっても映像センスの素晴らしさが光ります。画質もクリアで、とてもiphone5sで撮影したものとは思えません。ストーリーの方も一見ハチャメチャながら、最後にはしっかりと感動させてくれます。
タンジェリン [DVD]
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2017-08-02
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スノーデン(オリヴァー・ストーン監督)
NSAの職員であるスノーデンは重大な秘密を暴露する。NSAは世界中のネットと電話を傍受しているというのだ。しかも、月に1000億件という規模で。
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オリヴァー・ストーン監督が世界中を震撼させたスノーデン事件の全貌に迫った実録映画です。スノーデン自身の証言に基づいて手際よくまとめられており、衝撃的な内容も相まって、実話として非常に興味深く観ることができます。その反面、映画としての大きな盛り上がりに欠けるという欠点がありますが、これは作品の性格上致し方ないところでしょう。
スノーデン(吹替版)
ニコラス・ケイジ
2017-07-05
スノーデン(吹替版)
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ショコラ~君がいて僕がいる~(ロシューディ・ゼム監督)
黒人差別が激しかった19世紀末のフランス。人食い人種を演じるサーカス団員の黒人は落ち目の白人芸人であるフティットとコンビを組むことになる。そして、その斬新な芸風によって一躍人気者になるが、黒人差別の壁は未だ厚く…。
◆◆◆◆◆◆
20世紀初頭にフランスで活躍した黒人コメディアンの実録映画です。黒人に対する差別意識が現代とは比べ物にならないくらいひどかった時代において、道化となることで栄達を果たした男の栄光と挫折をドラマチックかつわかりやすく描いています。一方で、主人公の相方であるオマール・シーの道化役としての演技も素晴らしいものがあります。さすがはチャーリー・チャップリンの実孫です。全くタイプの違う2人が時にぶつかり合いながらも固い絆で結ばれていくストーリーは素直に感動できます。コメディ作品ではあるものの、全体的に重苦しくて暗めの雰囲気に彩られた大人向けの作品です。
ショコラ ~君がいて、僕がいる~ [DVD]
オリヴィエ・グルメ
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2017-10-04
ショコラ ~君がいて、僕がいる~(字幕版)
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沈黙ーサイレンスー(マーティン・スコセッシ監督)
キリシタン弾圧が激化する17世紀の日本。長崎で活動を続けていた宣教師が教えを捨てたとの知らせが入り、その事実が信じられない彼の弟子たちは日本に潜入するが…。
◆◆◆◆◆◆
遠藤周作の小説『沈黙』を名匠スコセッシ監督が映画化。日本幕府のキリスト教弾圧とその中でも棄教することを良しとせず、神を信じつづけることの意義を問うた作品です。そのため、ひたすら重苦しいムードに包まれていますが、脚本の妙や素晴らしい役者の演技などによってギリギリエンタメとして観られる作りになっています。日本の描写にしても、ロケ地が日本でないことや日本人が英語を流暢にしゃべることに対する違和感はあるものの、セットの細やかさなどによって当時の風景をリアリティ豊かに再現しているのが見事です。拷問シーンが続く前半は観ていてつらいものがありますが、キリシタンを迫害する側の武士たちにも人間的な一面が垣間見られるようになる中盤以降からは怒涛の展開が始まり、ぐいぐいと引き込まれていきます。日本の時代劇とはまた一味違った歴史巨編です。
沈黙-サイレンス- [Blu-ray]
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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2017-08-02
沈黙 -サイレンス-(字幕版)
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