最新更新日2020/09/18☆☆☆

映画の中ではクルマが主役となる場面が少なくありません。カーチェイスシーンはもちろんのこと、ロードムービーや、ときにはロマンス映画などでも車は重要なファクターとなります。そこで、映画を彩ってきたさまざまな名車について、登場した映画ともども紹介をしていきます。



1億総中流の国で生まれた庶民派スーパーカーホンダ NSX
かつて日本にはスーパーカーと呼ばれる車は存在しませんでした。単に、スピードの速いスポーツカーならありましたが、フェラーリやランボルギーニのようないかにもスーパーカー然としたスタイルの車は皆無だったのです。 そもそも、何千万円もするスーパーカーは富豪が道楽で購入するイメージがあり、突出した金持ちの少ない日本にはそぐわないイメージがありました、。それに、日本の狭い道路ではせっかくの性能を生かすことができません。 しかし、かねてよりスポーツカーにこだわりがあり、世界に誇れる車を作りたいと考えていたホンダは好景気を背景に、事実上、日本で初のスーパーカーの開発に取り組みます。 そうしてできたののがオールアルミボディのNSXです。ア
ルミニウムは軽く、錆びにくい金属なのでそれまでも車の各部位に用いられていましたが、金属部分がすべてアルミニウムという自動車はそれまで例がありませんでした。なぜなら、鉄などと比べると強度が弱く、安全基準をクリアできないからです。無理に強度を上げようとすれば今度はアルミニウムが分厚くなってしまい、軽量化という当初の目的が達成できなくなります。そこをホンダは構造を工夫することによってその問題をクリアし、鉄のボディと比べて約200kgもの減量に成功したのです。 スーパーカーというと、モンスタークラスのエンジンを積み込んで、力任せにスピードを上げるのが常でした。しかし、そんな暴れ馬のような車は素人には扱い切れません。高速でカーブを曲がるにはプロ級の腕が必要になります。つまり、多くの所有者にとってスーパーカーは宝の持ち腐れだったのです。 それに比べ、NSXのエンジンはさほどパワーはありませんが、車自体が軽いので走りは軽快です。重い車体を強引に走らせているわけではないのでカーブの際も安定性を失わず、スムーズに曲がれることができます。そして、空力理論に基づいた背の低いボディとエンジンを座席の後ろに設置することによって得た絶妙な重量バランスはその走りをアシストしていきます。 結果、NSXはトータルバランスの高いスーパーカーとして海外からも高い評価を得、欧州の有名メーカーにも多大な影響を与えました。 この車が誕生した背景には、バブル景気によって国民全体が豊かになり、多くのプチセレブが誕生した事実があります。こうした生活にゆとりが出始めた層にならスーパーカーを売ることができるのではないかと考えたのです。そのため、車庫に飾っておくような使えない高級車ではなく、日常生活の中で買い物の足に使ったり、休みの日にゴルフに出掛けたりすることができるスーパーカーづくりをホンダは目指しました。 居住性に気を配り、視界は良好で、おまけに、ゴルフバック2つ収納可能なトランクまで設置しました。価格も量産国産車としては過去最高値ですが、西欧のスーパーカーと比べればかなり安めの800万円。従来では考えられなかったいかにも日本人仕様のスーパーカーです。 こうして1990年に発売されたNSXは予想以上の評判を呼び、予約が3年先まで埋まってしまうほどでした。しかし不運にも、直後にバブルが弾けてしまい、そのあおりを受けて予約キャンセルが続出してしまいます。結果として、NSXの販売台数は成功とは言い難い数字で終わってしまいます。それでもその後の15年間、フルモデルチェンジすることなく販売が続いたという事実は、この車に根強い人気があったことを物語っているといえるでしょう。


ホンダ NSXが登場するおすすめ映画

アベンジャーズ(2012)
アメリカンコミックのヒーローが同一の世界に存在するという設定で描かれるマーベル・シネマティック・ユニバースシリーズの第6弾。そのなかで、アイアンマンことトニー・スタークスの愛車として、初代NSXを改造したNSXロードスターが登場します。
アベンジャーズ (吹替版)
グウィネス・パルトロウ
2013-12-19