最新更新日2021/01/18☆☆☆

映画の中ではクルマが主役となる場面が少なくありません。カーチェイスシーンはもちろんのこと、ロードムービーや、ときにはロマンス映画などでも車は重要なファクターとなります。そこで、映画を彩ってきたさまざまな名車について、登場した映画ともども紹介をしていきます。


アメリカンドリームの象徴/キャデラック エルドラド
1954年まで続いた赤狩りや1955年から始まるアフリカ系アメリカ人公民権運動など、50年代のアメリカ合衆国は様々な闇を抱えながらも表面的には豪華絢爛なこの世の春を迎えていました。 テレビ、電化製品、自動車と市民の多くが急速に豊かになっていき、自由と平等の精神のもとで誰もがアメリカンドリームを掴み取るチャンスがあるのだと希望に満ちていたのです。 そして、その夢を掴み取った証として存在していたのがアメ車と呼ばれる高級車でした。その存在感は自動車作りの本場、ドイツなどと比べても異質です。必要性を疑うほどの巨大さを誇示し、とにかくカラフルで美しさと下品さが紙一重の華美なデザイン。そんなアメ車と比べればメルセデス・メンツの高級車も地味に見えてしまうほどです。 しかし、過剰にまでに派手であるからこそ成功のシンボルになりえたわけで、アメリカンドリームの体現者たちは競ってアメ車を購入していきました。 その中でも代表的な存在として知られているのが、1959年に発売されたキャデラック エルドラドです。  エルドラドはまさに、多くの人がアメ車と言われて連想する要素を集約したような車です。 長さ5.7m×横幅2.0mという巨体、戦闘機をモチーフにして作られたテールフィンをはじめとして、一度見たら忘れることのできない強烈なデザイン、クロームメッキによってキラキラ輝くボディ。さらに、エアサスペンション、パワーステアリングといった当時の最新技術も惜しみなく投入されていました。 まさに、成功者の車であり、成功者以外の者が身につけても様にならないアイテムです。 GM(ゼネラルモーターズ)社のブランドであるキャデラックはこの時最盛期を迎え、最高級ブランドとしてアメリカ自動車界に君臨していきます。しかし、80年代以降はコストダウンの失敗などから品質が低下し、ブランドイメージの下落を招いてしまったのです。 さらに、頑強さや信頼性に優るドイツ車や日本車が台頭してきたことにより、キャデラックブランドは追い詰められることになります。 その後、様々な取り組みにより、キャデラックの人気は徐々に回復していきますが、今度は本家本元のGM社が経営破綻により、一時期国有化されることになるなど、まだまだその苦難は続きそうです。


キャデラック エルドラドが登場するおすすめ映画
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スーパーフライ(1972)

70年代に流行ったアフリカ系アメリカ人をターゲットにした低俗映画、いわゆるブラックスプロイテーションを代表的する作品です。主人公が裏社会から抜け出すために必要な金をヤクの密売で稼ごうとする、といったストーリーは一応あるものの、そんなものは途中でほっぽりだし、ギラギラとした音楽とファッションでひたすらごきげんになる映画です。ある意味、ブラックスプロイテーションのテンプレだといえます。主人公が乗るクルマがキャデラックの改造車なのも当時のお約束。
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ピンク・キャデラック(1989)

クリント・イーストウッド主演のアクションコメディです。保釈金を踏み倒して逃亡する被告を捕える仕事を生業にしている追跡屋が標的として追っていた人妻と共にやばい組織に命を狙われるという話で、従来のクールなイメージとは違うコミカルなイーストウッドの演技が見どころとなっています。もちろん、タイトルになるだけあってキャデラックも全編に渡って大活躍します。
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