最新更新日2019/11/13☆☆☆

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このミス2020
対象作品である2018年11月1日~2019年10月31日発売のミステリー&エンターテイメント作品の中からベスト20の順位を予想していきます。ただし、あくまでも個人的予想であり、順位を保証するものではありません。また、予想は作家の知名度や人気、ジャンルや作風、発売時期などを考慮した上で決めており、必ずしも予想順位が高い作品ほど優れているというわけでもありません。以上の点はあらかじめご了承ください。
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このミステリーがすごい!国内版最終予想(2019年11月13日)

1位.魔眼の匣の殺人(今村昌弘)→3位(実際の順位)※20位以まで記載
葉村と比留子は斑目機関の謎を追って僻地の村に足を踏み入れるが、橋を燃やされ、他の来訪者と共に村に閉じ込められてしまう。しかも、村の主である老女は「あと2日の内に男女2人ずつが死ぬ」という予言を告げ.......。
前作ほどの衝撃はありませんが、予言という特殊設定をうまく伏線に絡め、一級のフーダニットミステリーに仕上げた手腕はさすがです。
魔眼の匣の殺人
今村 昌弘
東京創元社
2019-02-20


2位.罪の轍(奥田英朗)→4位
1963年。浅草で小学1年生の男児が行方不明になる。その翌日に身代金を要求する電話があり、捜査一課の落合は誘拐事件として捜査を開始した。やがて、子どもたちから「莫迦」と呼ばれていた記憶障害の男が捜査線上に浮かびあがってくるが......。
昭和を強く感じさせる舞台の中で、粘り強く捜査を続ける刑事と悲惨な過去を持つ孤独な犯人との攻防が実にスリリングに描かれています。一気読み必至の犯罪小説の傑作です。
罪の轍
奥田 英朗
新潮社
2019-08-20


3位.ノースライト(横山秀夫)→2位
一級建築士の青瀬はかつて自分が設計した家を訪れ、そこに誰も住んでいないことを知る。あんなに喜んでいた施主はどこに行ってしまったのか?その謎を追っている内に青瀬自身も設計コンペの贈賄疑惑に巻き込まれていく.....。
家族や人としての矜持にまつわる骨太のドラマが展開され、後半になるほどぐいぐいと引き込まれていきます。ただ、ミステリー色は薄め。
ノースライト
横山 秀夫
新潮社
2019-02-22


4位.帰去来(大沢在昌)
捜査一課のお荷物刑事・志麻由子は何者かに首を絞められ、気がつくと戦後直後を思わせる異世界に転移していた。そこはアジア連邦日本共和国であり、しかも、その世界で彼女は東京市警暴力犯罪捜査局の課長になっていたのだ。
心理描写は細やかで展開は派手という非常に密度の濃いエンタメ傑作です。異世界SFと警察小説との融合が新鮮な著者の新境地。
帰去来 (ソノラマノベルズ)
大沢 在昌
朝日新聞出版
2021-01-07


5位.欺す衆生(月村了衛)→7位
詐欺商法をしていると知りながら豊田商事に入社した隠岐隆は偶然、会長殺害の目撃者となる。それから5年後。過去を隠して小さな会社の営業マンをしていた隠岐は、元同僚の因幡と再会し、半ば脅されるように新たな詐欺事業に協力させられるが......。
豊田商事事件のその後を描いたフィクションですが、実在の人物が多数登場し、詐欺の現代史といった趣があります。テンポが良くてリーダビリティの高いノワール小説です。
欺す衆生
月村 了衛
新潮社
2019-08-27


6位.蟻の棲み家(望月諒子)→19位
母からの虐待と貧困に耐えて育った末男。一方、中野区では2人の女性が別の場所で銃殺される。いずれも体を売って怠惰な生活を送っていたシングルマザーだ。フリーライターの木部美智子が事件の謎を追う。
抑制の効いた筆致で描かれた貧困問題の闇は圧倒的なリアリティを感じさせてくれます。また、ミステリーとしての仕掛けも見事。
蟻の棲み家
望月 諒子
新潮社
2018-12-21


7位.medium 霊媒探偵城塚翡翠(相沢沙呼)→1位
推理作家の香月史郎は、死者の声が聞こえるという美しい霊媒師・翡翠と出会う。彼女は霊視で事件の真相を見抜くことはできるが、それに証拠能力はない。そこで、史郎は彼女とコンビを組み、翡翠の霊視と史郎の論理の合わせ技で事件を解決しようとするが.......。
全4話からなる連作短編。最初の3話は正直ピリッとせず、いまひとつの感が強かったのですが、最終話で一気に伏線が回収され、すべてが反転する仕掛けが見事です。
medium 霊媒探偵城塚翡翠
相沢 沙呼
講談社
2019-09-12


8位.Iの悲劇(米澤穂信)→11位
人が住まなくなった集落に人を呼び寄せて蘇らせるIターンプロジェクト。役所には”蘇り課”が設立され、西野課長、万願寺、新人の観山がその任に当たることになる。ところが、限界集落にやってきた人々は次々に事件に見舞われ.......。
社会派ミステリーと謎解きの面白さを融合させた連作ミステリーです。ユーモアを盛り込みつつも、最後にひとひねり加えて後味の悪さを演出しているのが著者ならでは。
Iの悲劇
米澤 穂信
文藝春秋
2019-09-26


9位.マーダーズ(長浦京)→14位
過去に人を殺した経験のある商社マンの阿久津と刑事の敦子はその事実を突き付けられ、母の死の真相と姉の行方を探してほしいと女に脅される。捜査を行うと、やがて多くの未解決事件が浮かび上がってきて.......。
犯罪者が探偵役のクライムノベル。前半は謎めいた展開が気になり、後半は容赦のないアクションに痺れる傑作。
マーダーズ
長浦 京
講談社
2019-01-24


10位.W県警の悲劇(葉真中顕)→18位
強くなりたくて刑事になったのに上司のセクハラに抗議もできない千沙。そんな彼女が痴漢容疑者の男を取り調べる。被害者の女性は過去に3回も痴漢被害で示談金を受け取っていた。果たして男は犯人なのか、冤罪なのか?
男尊女卑の風潮が残る県警を舞台にした連作短編。重いテーマを軽い文体でスラスラと読ませ、衝撃のラストで驚かせる手腕が見事。
W県警の悲劇 (徳間文庫)
葉真中顕
徳間書店
2021-01-15


11位.昨日がなければ明日もない(宮部みゆき)→8位
依頼人は品のよさそうな中年女性だった。彼女の話によると、娘が自殺未遂で入院し、見舞いたいのだが、娘の夫が頑強にそれを拒むのだという。調査を開始した杉村三郎はその裏に醜い人間関係があることをつきとめる。
シリーズ第5弾の中編集。人物描写の巧さは相変わらずで人の悪意を巡る物語は秀逸。ただ、後味の悪さは賛否の分かれるところ。
昨日がなければ明日もない
宮部 みゆき
文藝春秋
2018-11-29


12位.むかしむかしあるところに、死体がありました。(青柳碧人)
漁師の浦島太郎が海辺でいじめられていた亀を助けると、亀はお礼にと竜宮城に案内します。ところが、その竜宮城で伊勢海老のおいせが何者かに殺されたのです。太郎は亀に頼まれて事件の調査に乗り出しますが......。
浦島太郎、桃太郎、鶴の恩返しなど、誰でも知っている物語を本格ミステリに落とし込むテクニックが秀逸です。非常に楽しい短編集。


13位.紅蓮館の殺人(阿津川辰海)→6位
隠棲生活を送っているミステリー作家に会うために、落日館と呼ばれる屋敷に向かった高校生の田所と葛城は途中で山火事に巻き込まれ、命からがら落日館に逃げ込む。だが、その翌日、屋敷の住人の一人が何者かに殺され......。
端正な推理が楽しめるクラシックな館ものでありながら、それだけで収まらないさらなる仕掛けに驚かされます。ただ、少々文章が読みにくい点が難。
紅蓮館の殺人 (講談社タイガ)
阿津川 辰海
講談社
2019-09-20


14位.Blue(葉真中顕)
平成15年に起きた教員一家惨殺事件。平成最後の年に起きた多摩ニュータウンカップル殺人事件。そして、平成の始まりと共に生まれ、終わりと共に死んでいったBlueと呼ばれた男。それらは一つの時代によって結ばれていく。
平成の出来事を散りばめた平成ドキュメンタリーというべきクライムノベル。現代社会のダークサイドを畳みかけるように描く筆致が圧巻です。
Blue
葉真中 顕
光文社
2019-04-17


15位.刀と傘 明治京洛推理帖(伊吹亜門)→5位
明治5年。府立監獄舎に収監されていた大逆の徒が死刑執行直前に殺害される。放っておいてもすぐに命を絶たれる死刑囚をなぜ殺す必要があったのか。若き尾張藩士・鹿野師光は江藤新平と共に事件の謎に挑む。
端正なロジックが光る連作時代本格ミステリ。しかも、単に謎解きに終始するだけなく、時代背景を巧みに絡ませている点が秀逸。


16位.いけない(道尾秀介)
自殺の名所の近くのトンネルで起きた交通事故と殺人の連鎖、イジメにあっている少年が目撃した殺人現場、死体で発見された宗教団体の女性幹部。蝦蟇倉市で起きた3つの事件の背後にあるものとは?
著者の原点回帰ともいえる『向日葵の咲かない夏』風の連作ミステリーです。その技巧の冴えは相変わらず見事ですが、帯の煽り文句はやや誇大広告のきらいがあります。
いけない
道尾 秀介
文藝春秋
2019-07-10


17位.そして誰も死ななかった(白井智之)
絶海の孤島に建つ館に招待された5人のミステリー作家。だが、館に招待主の姿はなく、代わりにミクロネシアの先住民族が儀式に用いた泥人形が置かれていた。やがて、5人は奇怪な死を遂げるが、本当の意味で事件の幕が開くのはこれからだった......。
あいかわらずのグロ描写と多重推理のつるべ打ちが堪能できる怪作です。特殊設定が複雑なのは賛否が分かれるところですが、思いもよらぬ真相へと導く超絶技巧ぶりが見事です。
そして誰も死ななかった
白井 智之
KADOKAWA
2019-09-30


18位.殺人犯対殺人鬼(早坂吝)→17位
孤島にある児童養護施設。島の外に出た職員は嵐に見舞われて戻ってくることができない。今が好機と中学生の網走一人は殺人計画を実行に移す。だが、標的はすでに殺されていた。しかも、謎の犯人は次々と犠牲者を増やしていった。
テンポのよい物語を楽しめる変則的クローズドサークルものあり、ミッシングリンクの謎を中心とした幾重もの仕掛けが楽しめる佳品です。


19位.本と鍵の季節(米澤穂信)→9位
堀川次郎と松倉詩門は高校2年の図書委員コンビ。放課後の図書館で当番をしていると亡くなった祖父の金庫の番号を探り当ててほしいという相談が持ち込まれ......。
著者十八番の青春日常連作ミステリー。主人公コンビの軽妙な掛け合いとビターな真相との対比が印象的な佳作です。
本と鍵の季節
米澤 穂信
集英社
2018-12-14


20位.我らが少女A(高村薫)→15位
12年前のクリスマスの早朝、公園で中学の美術教師が殺された。被害者は公園で写生を行っており、現場からは絵の具が持ち去られていた。疑われたのは少女Aだったが、犯人は未だに捕まっていない。合田の胸には後悔と未練がくすぶっていた.......。
合田シリーズ第6弾。合田刑事がすでに57歳という事実に驚かされます。人間ドラマとしては読み応えがありますが、ミステリーとしてはあまりにも地味。
我らが少女A
髙村 薫
毎日新聞出版
2019-07-20




その他注目作品50


21.お前の彼女は二階で茹で死に(白井智之)
高級住宅地の家で赤ん坊が巨大水槽の中に入れられ、肉食性ミミズに喰い荒されるという事件が起きる。捜査の末に警察は体がミミズそっくりになる遺伝子疾患を持った青年に行きつくが.......。
悪趣味すぎて読者を選びますが、鬼畜設定と一体となったトリックや伏線、ロジカルな推理といった要素は過去作以上に切れ味があります。


22.犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー~探偵AI2~(早坂吝)
人工知能探偵相似(あい)に敗北した似相(いあ)は人間の知能を増幅させることで強力な共犯者を手に入れる。ゴムボートで漂流していた死体、密室状況で殺されていた漁協長、そして、総理官邸での殺人。これらの謎に相似は挑むが......。
シリーズ第2弾。よくできた本格ミステリであると同時に、そこにSFテーマを絡めることでより奥深い物語を堪能できるようになっています。相似と似相のキャラも魅力的。


23.法月綸太郎の消息(法月綸太郎)
シャーロックホームズの作品の中でも異色作として知られる『白面の兵士』と『ライオンのたてがみ』。その2作に仕掛けられたコナン・ドライルによるトラップとは?一方、アガサ・クリスティの『カーテン』にもある秘密が.....。
4つの中編が収録された作品集。ミステリーファンにとってはコナン・ドイルとアガサ・クリスティの秘密に迫る『白面のたてがみ』及び『カーテンコール』がスリリング。
法月綸太郎の消息
法月 綸太郎
講談社
2019-09-12


24.カナダ金貨の謎(有栖川有栖)
民家で男性の絞殺死体が発見される。その現場から持ち去られていたのは一枚の金貨だった。一方、完全犯罪をもくろむ犯人の前に臨床犯罪学者の火村英生とミステリー作家の有栖川有栖が現れ......。
国名シリーズ第10弾。表題作はシリーズ初の叙述ミステリーで犯人側から見た火村とアリスの描写が新鮮。『あるトリックの蹉跌』では2人の出会いも描かれています。


25.だから殺せなかった(一本木透)
首都圏全域を震撼させる無差別連続殺人。その犯人”ワクチン”を名乗る手紙が大手新聞社の社会部記者の元に送られてくる。犯人は記者に紙上での公開対決を要求し、「俺を言葉で止めてみろ」と挑戦状を叩きつけるが.......。
新聞社の内部事情を交えつつ、犯人との対決が臨場感豊かに描かれており、やがて切ないラストへと集約される展開が見事です。
だから殺せなかった
一本木 透
東京創元社
2019-01-30


26.まほり(高田大介)→19位
社会学を専攻している勝山裕は卒論研究の一環として、ある村で二重丸を書いた紙が無数に貼られているという都市伝説を調査することになる。帰郷の際に再会した幼馴染の香織とフィールドワークを始めるが、村で少女が監禁されているという噂を耳にし......。
山奥の村で起きた事件を学術的に解いていく民俗学ミステリー。非常に知的好奇心を刺激される作品ですが、研究論文を物語にしたような作風は好き嫌いがわかれるところです。
まほり
高田 大介
KADOKAWA
2019-10-02


27.聖者のかけら(川添愛)
聖フランチェスコの死から四半世紀が過ぎたころ、修道院に出所不明の聖遺物が届き、次々と奇蹟を起こす。それは本当に奇蹟なのか?調査を命じられた若き修道僧が修道院に向かうと、聖フランチェスコの遺体に異変が起きていた。
”『薔薇の名前』と並び立つ”が売り文句ですが、あのような陰鬱さはなく、消えた聖遺物の謎と信仰の問題を取り上げつつも、冒険活劇を交えた軽快な娯楽小説に仕上がっています。
聖者のかけら
川添 愛
新潮社
2019-10-30


28.悪の五輪(月村了衛)
1963年。東京オリンピックの記録映画の監督から黒澤明が降板した。白壁一家の人見稀郎は興行界に打って出るチャンスと見て、後任に中堅監督の錦田をねじ込む。あらゆる業種が利権に群がる中、稀郎は金と女で実行委員たちを操ろうとするが........。
有名人を実名で登場させることで、物語に臨場感を与えることに成功しています。その反面、史実に縛られている分、物語としてのキレがやや鈍っている感もあり。
悪の五輪
月村 了衛
講談社
2019-05-16


29.スワン(呉勝浩)→15位
3人組の男がスワンと呼ばれるショッピングモールに乗り込み、模造銃で20人以上を殺害した後、自害する。それから半年後、事件の生存者である5人が徳下という弁護士に呼び出される。徳下は現場で不可解な死を遂げた老婦人の謎を解き明かしたいというが.....。
終結した事件に焦点を当て、本当は何があったのか、誰が嘘をついているのかを探っていく作品。テーマ性とミステリーの謎が表裏一体となってラストで収束していくさまが見事。
スワン
呉 勝浩
KADOKAWA
2019-10-31


30.犯人に告ぐ 3 紅の影(雫井脩介)
洋菓子メーカー父子誘拐事件の実行犯は逮捕したものの、主犯格である淡野には逃げられてしまう。特別捜査官の巻島が彼の行方を追っていたが、その頃、鎌倉に潜伏していた淡野は新たな犯罪計画を実行に移そうとしていた......。
シリーズ第3弾。前作はタイトルの由来となった劇場型捜査の要素が皆無だったために、賛否が分かれる結果となりました。それに対して、本作では原点に立ち返り、しかも、現代的要素であるネットテレビを使用することでよりサスペンスフルな展開になっています。
犯人に告ぐ(3) 紅の影
雫井 脩介
双葉社
2019-08-21


31.楽園の真下(荻原浩)
天国で一番近い島といわれている志手島で体長17センチのカマキリが発見されたという。事実なら世紀の大発見だ。フリーライターの藤間はさっそく島に赴く。だが、彼には島で急増している自殺の謎を探るというもう一つの目的があった。
動物パニックものは数多くありますが、相手がカマキリというのは斬新ではないでしょうか。しかも、本当の恐怖は別にあったという二段構えの展開が秀逸です。
楽園の真下
荻原 浩
文藝春秋
2019-09-11


32.希望の糸(東野圭吾)
住宅街にある小さな喫茶店で女主人が殺害される。捜査線上に浮上したのはかつて震災で2人の子どもを失った常連客だった。しかし、被害者の元夫も怪しげな行動をしていた。そして、捜査に当たる松宮刑事もある悩みを抱えていて......。
登場人物たちの秘められた関係が複雑に錯綜し、運命に翻弄される人々の物語。ミステリーとしては薄味ですが、家族を中心としたヒューマンドラマとして読み応えがあります。
希望の糸
東野 圭吾
講談社
2019-07-05


33.或るエジプト十字架の謎(柄刀一)
T字型の案内板に磔にされた首なし死体が発見される。犯人はなぜ、そんなことをする必要があったのか?他にもトランクルームの密室や白い粉が舞い散る殺人現場など、南美希風が不可解な4つの事件に挑む。
クイーンの国名シリーズを意識した連作集。堅実なロジックが光る良作です。ただ、文章は上手いとはいえず、状況が掴みにくいのが難。


34.今昔百鬼拾遺 天狗(京極夏彦)
昭和29年8月。是枝美智栄は高尾山に行ったきり行方不明になる。警察は山狩りを行うが手掛かりは見つからなかった。その2カ月後、遠く離れた群馬の山中で別の女性の腐乱死体が発見されるが、なぜかその死体は美智栄を服を身につけてた......。
百鬼夜行シリーズ外伝の第3弾。後味の悪い物語は賛否が分かれそうですが、仕掛けや真相の意外性など、ミステリーしての面白さは他の2作を圧倒しています。


35.魔偶の如き齎すもの(三津田信三)
幸福と災いを同時にもたらすと言われる奇妙な文様が刻まれた土偶。大学を卒業して3年目になる刀城言耶はその話にを聞いて旧家の屋敷に向かうが、そこには土偶に興味を持った人たちが既に集まっていた......。
3つの短編と表題作の中編からなる作品集。短編はあっさりしぎてやや物足りないものの、表題作はどんでん返しと伏線回収が見事な傑作です。
魔偶の如き齎すもの
三津田 信三
講談社
2019-07-11


36.ムゲンのi(知念実希人)
女医の愛衣は突然昏睡状態に陥ってしまう謎の病気イレスにかかった3人の患者を担当することになる。霊能者の祖母の話では患者を目覚めさせるには魂の救済が必要だという。一方、都内では連続猟奇殺人が発生し......。
ファンタジックな世界観の中に伏線を張り巡らせ、後半になると一気に回収する手管が見事。クライマックスのどんでん返しと同時に大きな感動を味わえる傑作です。


37.教室が、ひとりになるまで(浅倉秋成)
高校で3人の生徒が立て続けに自殺する。しかも3人とも「私は教室で大きな声を出しすぎました。調律される必要があります」という遺書を残していたのだ。これは殺人だと訴える幼馴染の言葉に、友弘は犯人探しを始めるが.....。
犯人の能力を当てる緻密な頭脳戦はSFミステリーとして読み応えあり。また、犯人の動機を軸としたほろ苦い青春ミステリーとしても秀逸。
38.潮首岬に郭公の鳴く(平石貴樹)→10位
函館の有名な名家には美人の3姉妹がいたが、その三女が行方不明となり、やがて死体となって発見される。遺留品は血糊のついた鷹のブロンズ像。「鷹ひとつ 見つけてうれし 伊良湖崎」果たしてこれは松尾芭蕉の俳句を模した見立て殺人なのか?
本格ど真ん中というべき傑作で、ラスト50ページの怒涛の謎解きは圧巻という他ありません。ただ、そこに至るまでの物語が淡々としすぎているのが好みの分かれるところです。


39.幻の彼女(酒本歩)
ドックシッターの風太宛てに元カノ美咲の訃報が届く。まだ32歳なのにと驚くと同時に他の元カノである蘭とエミリに連絡を取ろうとするが消息がつかめない。調べてみると3人は最初から存在しなかったように痕跡が消えており.....。
第11回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。ほのぼのした雰囲気から思いもよらぬ結末へと至る驚愕と感動のミステリー。
幻の彼女
酒本 歩
光文社
2019-03-19


40.殺人鬼がもう一人(若竹七海)→12位
20年間事件らしい事件も起きていない寂れたベッドタウン。ところが、放火殺人発生以降、事件が続発し、地元警察は対応に追われる。そんな中、あるひったくり事件が発生。生活安全課の砂井三琴が捜査を命じられるが.....。
6つの連作短編に出てくる登場人物は刑事を含め全員悪人。かなりダークな物語ですが、語り口がユーモラスで痛快ささえ感じます。


41.偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理(降田天)
光代は高齢者で構成された詐欺グループのリーダー。ところが、手足として使っていたはずの仲間の女が金を持ち逃げしてしまう。しかも、光代の元に過去の犯罪をネタに脅迫状が送られてくる。追い詰められた彼女は強引な手口で事態の打開を図るが.......。
第71回日本推理作家協会賞短編部門受賞。刑事コロンボ的な倒叙連作ミステリーですが、探偵役が派出所のお巡りさんというのが新鮮。犯人を追い詰めていく手際も見事です。


42.カエルの小指 a murder of crows(道尾秀介)
武沢竹夫は元詐欺師だが、今は足を洗って実演販売員として生計を立てていた。そんな彼の前にキョウと名乗る中学生が現れ、実演販売の技術を教えてほしいという。詳しい話を聞くと母親を騙した詐欺師を探すのに必要だというのだが.......。
詐欺師・武沢竹夫のその後を描いた『カラスの親指』の続編。小さなサプライズを交えたテンポのよい物語はそれなりに楽しめるものの、前作に比べるとこじんまりとしています。
カエルの小指 a murder of crows
道尾 秀介
講談社
2019-10-25


43.白魔の塔(三津田信三)
戦後の日本。さすらいの青年・物理波矢多は次なる職に灯台守を選ぶ。だが、目的の燈台にはなかなかたどり着くことができず、なぜか密林に迷い込み、そこで怪異に遭遇する。ようやく灯台にたどり着いた波矢多だが.....。
謎解きメインだった『黒面の狐』とは異なり、ホラー寄りの作品。ミステリーとしては物足りませんが、最後のオチにはゾッとする怖さがあります。
白魔の塔
三津田 信三
文藝春秋
2019-04-12


44.ゴールデン街コーリング(馳星周)
新宿ゴールデン街には「日本冒険小説協会公認酒場」と銘打たれたバー”マロウ”があった。北海道から上京した坂本はそこでバイトをしていたが、やがて放火未遂事件とそれに絡んだ殺人事件に巻き込まれることになる。
著者の自伝的小説であり、有名作家などが実名で登場するのが楽しい。ミステリーとしてよりも酒の香りと本が織りなす青春小説として秀逸。


45.DRY(原田ひ香)
藍は不倫が原因で離婚し、貧困生活に喘いでいた。実家に戻っても母と祖母がうら寂しく暮らしているだけ。一方、実家の隣に住む美代子は祖父の介護を一人で続ける孝行娘だと評判だったが、その裏にはおぞましい秘密が隠されていた。
『蟻の棲み家』が生ぬるく思えるほどの貧困を描き、堕ちていく女の姿にゾッとする真迫のクライムノベル。
DRY
原田ひ香
光文社
2019-01-22


46.インソムニア(辻寛之)
アフリカの紛争地帯に自衛官7名がPKO部隊として派遣されが、一人は砲弾を受けて死亡し、帰国してからさらに一人が自殺をするという結果に終わってしまう。果たして現地で何が起きたのか?
重いテーマを扱いながらも、5人の語り手によって少しずつ真実が見えてくる展開が上手く、ぐいぐいと引き込まれていきます。
インソムニア (光文社文庫)
辻 寛之
光文社
2021-03-10


47.カインは言わなかった(芦沢央)
バレエで主役の座を射止めた誠が公演3日前に姿を消した。世界のホンダと称される誉田監督の苛烈なシゴキにも喰らいついていき、舞台にすべてを捧げてきた男の身に一体なにが起きたのか?
ミステリーというよりは人間ドラマに比重が置かれた作品ですが、芸術を巡る狂気じみた描写はサスペンスとして読み応えがあります。
カインは言わなかった
芦沢 央
文藝春秋
2019-08-28


48.予言の島(澤村伊智)→19位
戸内海の霧久井島で霊能番組が撮影されるが、人気霊能力者の宇津木幽子は撮影中に体調を崩し、2年後に亡くなってしまう。20年後の8月25日から26日にかけて島で6人が死ぬという予言を遺して.......。
ホラー界の旗手が描く初のミステリー長編。ミステリーの仕掛けに目新しさはないものの、ホラー要素との絡め方が秀逸。
予言の島
澤村伊智
KADOKAWA
2019-03-15


49.スイート・マイホーム(神津凛子)
長野に住む賢二は寒がりの妻と娘のために一台のエアコンで家全体を暖めることのできる夢のモデルハウスを購入する。だが、引っ越した直後から奇妙な現象が起こり始め、それはやがて恐怖へと変わっていく。
テンポの良い展開と張り巡らせた伏線の妙で読ませるものの、真相が分かりやすいのが難。その代わり、世にもおぞましいラストはインパクト大です。


50.遠い他国でひょんと死ぬるや(宮内悠介)
「ぼくは、ぼくの手で、ぼくの戦争を書きたい」そう書き残し、若き詩人の武内浩三は1945年にルソン島で戦死した。彼はそこで何を見たのか?元テレビディレクターの須藤は単身フィリピンに渡るが......。
B級アクション映画のノリに歴史や宗教の問題を絡めることで読み応えのある作品となっています。ただ、少々詰め込みすぎで後半の展開が散漫となっているのが惜しいところです。


51.フーガはユーガ(伊坂高太郎)
優我と風我は双子の兄弟。幼い頃から父親のDVを受けており、母親はそれを見て見ぬふりをしていた。ある日、2人は互いの体を入れ替える能力があることを知り、やがてその力を使って悪に立ち向かうことになる。
重く残忍な物語は賛否が分かれそうですが、構成の妙や切なくも希望につながるラストなどはさすがの巧さです。
フーガはユーガ
伊坂 幸太郎
実業之日本社
2018-11-08


52.極上の罠をあなたに(深木章子)
規月市の議員の息子が誘拐される。身代金の要求があり、金を用意するために秘書が事務所の金庫に向かう。ところが、暴漢に襲われ、金庫の金を奪われていまう。しかも、その金は偽札だったのだ。一方、ある人物が”便利屋”にある仕事を依頼し.ていた.....。
悪人同士の騙し合いを描いた連作短編。二転三転する目まぐるしい展開の末に騙される快感を味わえる好篇です。
極上の罠をあなたに
深木 章子
KADOKAWA
2019-09-30


53.シーソーモンスター(伊坂幸太郎)
バブルに浮かれる昭和末期。その中にあって北山家は一見平凡な家庭に見えたが、その中では世にも恐ろしい嫁姑戦争が繰り広げられていた。しかも、嫁は姑の過去に対して大きな疑惑を抱くようになり.......。
昭和編と未来編の2部構成の作品であり、導入部のうまさやスリリングな展開はさすがです。ただ、既視感があり、新鮮味に欠けるのが難。
シーソーモンスター (単行本)
伊坂 幸太郎
中央公論新社
2019-04-05


54.いきぢごく(宇佐美まこと)
旅行代理店を経営する42歳の鞠子は若い部下と交際しているが、結婚する気はない。そんなとき、彼女は亡父から相続することになった民家を訪れ、古いお遍路日記を見つける。鞠子はそこに綴られている女性の生きざまに興味を抱き.....。
現代女性の葛藤と戦前の陰鬱な物語が交互に描かれ、決して楽しい話ではありませんが、終盤における怒涛の伏線回収は圧巻です。
いきぢごく
宇佐美まこと
角川春樹事務所
2019-03-13


55.そのナイフでは殺せない(森川智喜)
大学生の七沢は刺殺しても同じ時刻になると生き返る不思議なナイフを手に入れる。一方、ミニシアターで上映されている映画の中に登場する犬や猫が本当に殺されているらしいという情報を得て、シングルマザーの警部が調査に乗り出すが.....。
特殊設定を活かしたトリックの連打と倫理観を揺るがす狂気の展開によって息つく間を与えない、ジェットコースターミステリー。


56.穴掘り(本城雅人)
年間の行方不明者は約9万人。その内、発見されないままで終わってしまうのが約3千人。その中には人知れず殺された人間もいる。鬼刑事信楽は彼らの声なき声を聞き、犯人逮捕に向けて執念の捜査を続けていくが......。
6篇からなる連作短編集。主人公の信楽巡査部長を軸にしつつ、次々と視点が変化し、やがて過去の事件が現在と結びついていくプロットが見事です。
穴掘り
本城 雅人
双葉社
2019-08-21


57.ジャンヌ Jeanne,the Bystander(河合莞爾)
2060年代の日本ではヒューマノイドロボットが社会に浸透していた。ところが、家事用のロボット、ジャンヌが主人を殺すという事件が起きたのだ。ロボット3原則に縛られているはずの彼女はいかにして人を殺したというのか?
ロボット3原作を巡る謎を軸にして、社会派テーマ、アクション、刑事とロボットのバディものといった要素をうまく絡めた娯楽傑作です。


58.ベーシックインカム(井上真偽)
全国民に最低限の生活ができるお金を支給するベーシックインカム。この政策によって金銭目的の犯罪は減るはずだと主張する教授の金庫から預金通帳が盗まれる。一体犯人のなぜ、厳重に管理された金庫の中から通帳を盗んでいったのか?
全5編からなるSFミステリー。AI、VR、遺伝子操作といった最新技術を題材にして手堅くまとめている印象だが、その中に読者の予想を覆すヒネリを加えているのが著者ならでは。
ベーシックインカム
井上 真偽
集英社
2019-10-04


59.早朝始発の殺風景(青崎有吾)→12位
早朝の始発電車で高校生の男女が鉢合わせになる。同級生だが、それほど親しくない2人はぎこちない会話を始める。やがて、なぜ始発電車に乗っているのかという話になり、互いにその理由を推理し始めるが.......。
日常の謎を扱った連作ミステリー。謎自体は小粒ですが、伏線回収の手際が鮮やかであり、謎解き要素のある青春小説としてよくできています。
早朝始発の殺風景
青崎 有吾
集英社
2019-01-04


60.検事の信義(柚月裕子)
任官5年目の佐方検事は、母親殺しの容疑で逮捕された男の裁判を担当する。男はすでに自供しており、簡単な事件のように思われた。だが、佐方は遺体発見から逮捕までの2時間に疑問を抱き.....。
佐方貞人シリーズの第4弾の短編集。信念を貫く佐方の生き様と事実を積み重ねがら真実に迫っていく姿に痺れます。安定の面白さです。
検事の信義
柚月裕子
KADOKAWA
2019-04-20


61.ゆりかごに聞く(まさしとしちか)
新聞記者の柳宝子の元に、父が亡くなったという連絡が入る。だが、彼女の父は21年前も前に火事で死んでいるはずなのだ。しかも、遺留品には猟奇殺人に関する記事の切り抜きと「これからも見守っていく」と書かれた手紙が....。
親子の愛という重い主題とミステリーとしての面白さが混然一体となって非常に非常に読み応えのある作品になっています。
ゆりかごに聞く
まさき としか
幻冬舎
2019-04-18


62.探偵はぼっちじゃない(坪田侑也)
中学3年の緑川は同級生から一緒に推理小説を書いてほしいと頼まれる。一方、新米教師の原口は自殺志願者の集まるサイトのチャットグループに自校の生徒がいることに気が付き、自殺を食い止めようと奮闘するが......。
第21回ボイルドエッグズ新人賞。2002年生まれの著者が描く的確な心理描写と巧妙なプロットがとにかく見事です。
探偵はぼっちじゃない
坪田 侑也
KADOKAWA
2019-03-28


63.木曜の子ども(重松清)
私は前の学校でひどいいじめを受けていたという妻の連れ子のことを心配していた。そんな折り、7年前に中学の同級生を9人毒殺した犯人が街に帰ってくるという噂が流れる。やがて、事件が起き......。
少年たちの心の闇を描いた暗く重い話ですが、巧みな語り口に引き込まれていきます。ただ、終盤の狂気じみた展開は好みが分かれそう。
木曜日の子ども
重松 清
KADOKAWA
2019-01-31


64.盲剣楼奇譚(島田荘司)
警視庁捜査一課の吉藪竹史は東大で開催されていた美術展を訪れ、そこに出品されていた”盲剣さま”と題された、赤子を抱いた足のない美剣士の絵に強く惹かれる。その絵の作者はこの絵は実際に自分が目撃した場面を描いたものだというのだが.......。
実に17年ぶりの吉藪竹史シリーズ。ただ、全体の8割は過去を舞台にした剣豪小説になっており、それはそれで面白くはあるものの、ミステリーを期待した人には不満の残る出来。
盲剣楼奇譚
島田 荘司
文藝春秋
2019-08-28


65.千年図書館(北山猛)
村で凶兆の起きるたびに若者が捧げられる西の果ての島にある図書館。今回は13歳の少年・ペルが選ばれて島に行くとそこには2年前に彼と同じように選ばれた少女・ヴィサスがいた....。
『私たちが星座を盗んだ理由』と同様にどんでん返しメインの幻想小説集。”星座”ほどの衝撃はありませんが、終末的世界観に引き込まれます。
千年図書館 (講談社ノベルス)
北山 猛邦
講談社
2019-01-11


66.予告状ブラック・オア・ホワイトーご近所専門探偵物語ー(市井豊)
かつて全国に名をとどろかせていた名探偵・九条はいつしか近所のささやかな謎にしか興味を持たないご当地探偵になっていた。そんな彼がご当地アイドルへの予告状、動物公園の猿泥棒、消えた絵馬といった謎に挑む。
奇妙な謎から意外な真相が導き出される日常の謎ものとしてよくまとまっており、ものぐさな探偵と生真面目な秘書との掛け合いも楽しい良作です。


67.開化鐵道探偵 第一〇二列車の謎(山本巧次)
明治18年。元八丁堀同心の草壁賢吾は井上鉄道局長に呼び出され、何者かの手によって列車が脱線させられ、積み荷から千両箱が発見された事件を調査してほしいと頼まれる。しかし、その矢先に爆弾騒動に巻き込まれ......。
前作同様、時代描写が巧みであり、登場人物も魅力的で楽しい作品に仕上がっています。ただ、推理ものとして薄味なのが好みの分かれるところ。


68.夜汐(東山彰良)
蓮八は遊女に身を落とした幼馴染の八穂を救うため、賭場から大金をせしめる。その結果、殺し屋・夜汐に追われる身となった彼は新撰組に身を隠すが、帰郷を願う八穂のために隊を脱走。八穂の待つ峠を目指す。
ロードムービー風時代小説。泥と血にまみれた殺伐とした物語ですが、夜汐・土方・沖田などのキャラが立ちまくりで読み応え満点。
夜汐
東山 彰良
KADOKAWA
2018-11-28


69.こうして誰もいなくなった(有栖川有栖)
海賊島と呼ばれている伊勢湾に浮かぶ小島。そこに10人の男女が招待される。しかし、なぜか姿を現したのは9人だけだった。やがて、ボイスロイドの声が彼らの罪を告発し、連続殺人が発生するが......。
バラエティ豊かな14編からなる作品集。非ミステリーの短い作品が多いのですが、表題作は『そして誰もいなくなった』のオマージュ的中編として読み応えがあります。
こうして誰もいなくなった
有栖川 有栖
KADOKAWA
2019-03-06


70.ノワールをまとう女(神護かずみ)
日本有数の医薬品メーカー・美国堂。その傘下に収まる韓国企業の社長の反日発言映像がネットに流出し、美国堂は世論から糾弾される。企業のトラブル処理を請け負う原田は美国堂から事態収拾の依頼を受け、その処理を部下の奈美に指示するが.......。
乱歩賞受賞。企業のネット炎上を鎮静化させるというヒロインの職業に興味を惹かれます。社会派ハードボイルドとして読み応えは十分ですが、ミステリー部分が凡庸なのが残念。
ノワールをまとう女
神護 かずみ
講談社
2019-09-19


2019年12月11日追記
予想結果
ベスト5→5作品中3作的中
ベスト10→10作品中5作的中
ベスト20→20作品中15作的中
順位完全一致→20作品中0作品


トランプ殺人事件