最新更新日2018/02/26☆☆☆

ゾンビはホラー映画の中でも特に高い人気を誇っています。しかし、その人気が確立されるまでには紆余曲折がありました。決して順風満帆な道のりではなかったのです。そこで、ゾンビ映画の有名作品を紹介しつつ、その歴史を振り返ってみることにします。


1932年


ホワイト・ゾンビ(ヴィクター・ハルペリン監督)
日本では当時「恐怖城」のタイトルで公開された最古のゾンビ映画です。ゾンビといってもホラー映画によく登場する人間を見境なく襲って人肉を喰らう怪物ではありません。ここでは死体にブードゥー教の秘儀をかけて作りだした、術者の忠実なしもべとして描かれています。むしろ、こちらの方が本来のゾンビであり、現在の形になったのはジョージ・A・ロメロ監督がアレンジを施した結果です。また、本作のゾンビは労働力として無理矢理働かされているため、恐怖どころか哀れささえ漂っています。その代わりに、ドラキュラ俳優のベラ・ルシゴがゾンビを操るブードゥー教の司祭を不気味に演じているわけですが、はっきり言って現代のホラー映画と比べるとあまりにも牧歌的すぎて恐怖を感じるシーンはほとんどありません。今となっては見るべき点はなく、最初のゾンビ映画という歴史的価値のみで語られている作品だといえるでしょう。

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1
968年

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/ゾンビの誕生(ジョージ・A・ロメロ監督)
近代ゾンビを創出した記念碑的作品です。動きが遅くて一匹一匹はそれほど脅威ではありませんが、気が付くと周りを囲まれて逃げ場がなくなってしまうという設定はこの作品から始まっています。同時に、ゾンビ映画の巨匠であるジョージ・A・ロメロの監督デビュー作でもあります。一作目には作家のすべてが詰まっているという言葉の通り、この作品にはロメロ監督のすべてが凝縮されているといっても過言ではありません。しかも、単に作家のエッセンスが詰まっているというだけでなく、驚くべきはその完成度の高さです。物語の冒頭から急転直下の展開となり、その後手際良く主要人物の紹介が行われ、クライマックスへと流れ込むプロットは娯楽映画のお手本そのものです。その上、モノクロの簡素な画面によって想像力がかきたてられ、より恐怖が増幅されていきます。そして、極めつけがラストシーン。この皮肉の利いた結末が、見る者に強烈な余韻を与えます。ゾンビ映画というジャンルが確立されたのも本作の完成度の高さがあったが故だといえるでしょう。

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1974年

悪魔の墓場(ホルヘ・グロウ監督)
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」が当時は劇場未公開だったため、日本で公開された初めての近代ゾンビ映画となった作品です。内容は明らかに「ナイト・オブ・リビング・ザ・デッド」の影響がみられます。一方で、本家はパニックホラーなのに対して本作は主人公に殺人容疑がかかるサスペンス映画風にまとめられている点にオリジナリティがあります。とは言え、本家と違って恐ろしくテンポが悪く、目の肥えた今のゾンビ映画ファンが観賞するにはかなりつらい作品です。特に、ゾンビの存在を主張する主人公とそれを信じない警察官のやり取りは、観ていてイライラするばかりです。ただ、はらわたを引き裂いて貪り食ったりするゴア描写はさすがイタリア映画といった感じでなかなかの迫力です。また、不気味な音楽とあいまって雰囲気自体は悪くないのでゾンビ映画の歴史を知るという意味では一度チャレンジしてみるのもよいのではないでしょうか。

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1978年

ゾンビ(ジョージ・A・ロメロ監督)
ジョージ・A・ロメロの名前を世界に轟かせた彼の最高傑作。同時に、ゾンビの名も世界中に広まり、以後は雨後のタケノコのごとくゾンビ映画が作られるようになります。その結果、現在ではゾンビ映画も大きく進化し、本作も恐怖という点では大した作品ではなくなってしまいました。ノロノロと動くゾンビは今見ると微笑ましくさえあります。ただ、この映画の神髄はホラー映画としての怖さでも血みどろのゴア描写でもありません。ゾンビに支配され、遠からず人類は絶滅するであろうという滅びのドラマが敷衍的に語られているところにこの作品の凄味があります。舞台のほとんどがショッピングモールの中に限定されているのにも関わらず、もうすぐ世界が滅ぶのだという詩情にも似た切なさがビンビンと伝わってきます。そうした表現力の高さが、本作をホラー映画の枠を超えた不朽の名作へと押し上げたのです。



1979年

サンゲリア(ルチオ・フルチ監督)
ゾンビの世界的ヒットを受けて製作された完全な便乗作品であり、タイトルを勝手に「ゾンビ2」にしている辺りはさすがイタリア映画といったところです。ストーリー的にも特に語るべき点はなく、ただカリブ海に浮かぶ南の島がゾンビだらけになって登場人物たちを襲うというだけの作品です。パクリ元と比べるとあまりにも物語としての深みに欠けます。しかし、その一方でこの作品はマスター・オブ・ゴアことルチオ・フルチ監督のホラー映画デビュー作でもあります。そのゴア描写は強烈で、ゾンビの体は腐敗してウジが湧き、人間の眼球を思いっきり串刺しにするなど、ロメロ監督のゾンビが単なる青瓢箪に見えるほどのインパクトがあります。その残虐性は芸術の域に達しているといっても過言ではありません。他にも、水中でゾンビとサメが闘うシュールなシーンも忘れ難い味わいがあります。ゾンビ映画史を語る上で欠かすことのできないカルト的傑作です。
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1985年

死霊のえじき(ジョージ・A・ロメロ監督)
1985年はゾンビ映画が多数上映され、ゾンビ文化が一気に開花していきます。そして、そのトップを切ったのが、ゾンビ映画の父であるロメロ監督の「死霊のえじき」でした。ただ、「死霊のはらわた」のブームと邦題はとりあえず話題になった作品からパクるという悪しき風習のせいでタイトルが意味不明なことになっているのが、この作品の不遇さを物語っています。一大ブームを巻き起こした「ゾンビ」でしたが、本作公開当時のネームバリューはすでに「死霊のはらわた」を下回っていたわけです。ちなみに、原題は「デイ・オブ・ザ・デッド」。死者の夜→死者の夜明け→死者の日という流れで地球がゾンビに支配されていく過程を描いたゾンビ3部作の完結編という位置づけです。
本作の冒頭ではすでに地球のほとんどがゾンビによって占拠され、科学者の試算ではゾンビと人類の比率は40万対1という絶望的な数字がはじき出されています。生き残ったわずかな人間は地下の軍事基地でひっそりと生活しているという終末感満点のスタートです。基地の周辺には大量のゾンビが群がっており、もう絶望しかありません。しかし、それ以上にひどいのが軍人と科学者の内輪もめで、終始グダグダしながら自滅していくさまは見ていて非常にイライラします。確かに、人間による自滅はロメロゾンビの様式美ではあるのですが、「ナイト・オブ・ザ・リビングデット」のテンポのよい娯楽性の高さ、「ゾンビ」での人間ドラマとしての深みに比べると、本作の内輪もめは単に冗長な印象しか持てないのがつらいところです。それでもラスト15分のクライマックスはゴアシーンも含めてなかなか見応えがあり、かろうじて単なる凡作になるのだけは免れています。また、知能と感情の痕跡を持つゾンビを登場させたのもなかなか印象的ではありました。これで、ロメロ監督が最初に構想していたゾンビ対人類の派手な戦闘シーンがあれば傑作になった可能性もあったのではないでしょうか。そう考えると、予算不足でその構想を断念せざるを得なかったのが、いかにも惜しまれます。
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バタリアン(ダン・オバノン監督)
この年にゾンビ映画が脚光を浴びたのは間違いなくこの作品があったからでしょう。本作はホラー映画の体裁を取りながらもコミカルな味付けをすることでゾンビ映画の新しい可能性を示しました。しかも、この映画のゾンビは走るゾンビです。21世紀にスタンダードとなった全力疾走のソンビがすでにこの時点で登場していたのです。ちなみに、同じ1985年公開の「デモンズ」も走るゾンビ扱いされることがよくありますが、正確にいうとあちらは悪魔であってゾンビではありません。一方、バタリアンですが、こちらは走る上に知能も人間並みです。自ら警察に応援を要請して新たな犠牲者をおびき寄せたりしています。はっきりいって歴代ゾンビの中でも手ごわさという点では最強クラスでしょう。主人公たちはそのゾンビに追い詰められていくわけで、あるのは絶望だけです。しかし、そのお先真っ暗な展開の中にコメディ要素を散りばめている点が当時の映画としては斬新だったというわけです。これ以降、コミカルなホラー映画が数多く製作されるようになりますが、笑いと恐怖のバランスという意味では現代でもこの作品が頭ひとつ抜けています。「ゾンビ」や「サンゲリア」に並ぶ20世紀ゾンビの金字塔です。
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ZOMBIO/死霊のしたたり(スチュアート・ゴードン監督)
本作はラブクラフトの「死体蘇生者ハーバード・ウェスト」を下敷きにしていますが、原作の持つ味わいなどはガン無視でとにかくエログロに突き抜けたB級ホラーに仕上がっています。全体的におバカなノリの映画でスプラッター描写が苦手でなければ気楽に楽しむことができるでしょう。特に、研究のためにはすべての行為が正当化されるとばかりに、死体蘇生に邁進してはゾンビを大量生産させるウェストがよい味を出しています。同時に、生首ゾンビのビル教授もウェストに負けない怪演を見せてくれます。ゾンビ映画というよりは二人のマッドぶりを楽しむ映画だといった方が正確なところではないでしょうか。
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1990年

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀(トム・サヴィーニ監督)
あの名作のリメイク作品でストーリーも22年前の原作をほぼ踏襲しています。その中で大きな違いといえるのがヒロインポジションにいるバーバラの扱いです。原作ではキャーキャー言っているだけの存在でしたが、本作では時代を反映して闘う女性に変更されています。全体のストーリーも洗練され、より見やすくなっています。ただ、ラストのオチは原作の方が秀逸です。その他には大きなアレンジはないので安心して見られる反面、ゾンビ映画としての新鮮さには欠ける面はあるかもしれません。それにしてもタイトルに相変わらず死霊と付けられているのはなんとかならなかったのでしょうか。

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1992年


ブレインデッド(ピーター・ジャクソン監督)
監督は当時ホラー・コメディの作り手としてマニアから注目を集めていたピーター・ジャクソンです。そして、本作は彼のマニアックな一面を全開にした作品に仕上がっています。本当に「ロード・オブ・ザ・リング」で世界的な名声を得たのが信じられないほどのマニアっぷりです。とにかく、ぶちまけられる血の量が半端ではありません。クライマックスでは大量発生したゾンビが電気芝刈り機で切り刻まれるシーンが延々と続き、床一面が文字通りの血の海になっていきます。しかも、ゾンビが子作りに励み、速攻で赤ちゃんゾンビが生まれてくるなど、悪趣味度数も超一級です。80年代に流行ったスプラッター映画の究極形とでもいうべき作品です。しかし、逆に、行きつくとこまで行った結果、この作品以降、スプラッター映画は急速に下火になっていっていくことになります。
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2002年

28日後...(ダニー・ボイル監督)
「デモンズ」と同じく正確にいうとこの作品もゾンビ映画ではありません。しかし、90年代に完全に下火となっていたゾンビ映画というジャンルを復活させた功績はあまりにも大きく、その歴史を語る上で欠かすことのできない作品となっています。ちなみに、襲いかかってくるのはゾンビではなく、ウイルス感染によって錯乱状態に陥ったただの人間です。しかし、理性を失っている点はゾンビと同じで、しかも生きているので動きが機敏です。常に全力疾走で襲いかかってきます。確かに、「バタリアン」も走るゾンビでしたが、コメディ半分のあっちとは違ってこちらは100%シリアスなのでばったりと遭遇した時の恐怖が半端ではありません。映画的にも前半の廃墟と化したロンドンの描写は異様な迫力があり、今までのゾンビ映画にはなかった緊迫感を抱かせてくれます。ただ、問題は映画の後半で、「生き残った市民VS暴走した軍隊」という展開にシフトするのはいかがなものでしょうか。この手の映画で人間同士の仲間割れはお約束とはいえ、感染者が完全にメインから外れてしまったのはホラー映画としてバランスを欠いているように思います。
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バイオハザード(ポール・WS・アンダーソン監督)
90年代に入ると日本のアニメやゲームが世界的に人気を集めるようになり、ハリウッドでも盛んに映画化されるようになりました。しかし、出来上がったものは「スーパーマリオ」「ストリートファイター」「北斗の拳」などといったワースト映画に名前が挙がってくるようなものばかりでした。もちろん、興行的にも大失敗です。そんな中で当時、唯一の成功作と言われたのが本作です。そもそも、ゲームの世界観を忠実に再現しようとするとどうしても作り物っぽくなってしまうのですが、この作品はその問題をうまく消化しています。いかにも、ゲームのステージっぽい人工的な舞台を構築しながらも死と隣り合わせのサスペンスをセットにすることで不自然さを感じさせない作りになっているのです。そして、ヒロインを演じたミラ・ジョヴォヴィッチの美しさもゲームキャラっぽっくて人工的な世界観とマッチしています。ただ、映画全体がスタイリッシュにまとめられているため、ゾンビ映画特有のグロテスクさはあまりなく、ラスボスのCGが今見ると安っぽい点は賛否の分かれるところでしょう。
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2004年

ドーン・オブ・ザ・デッド(ザック・スナイダー監督
名作「ゾンビ」のリメイクですが、同時に走るゾンビのモデルケースとなった「28日後...」の発展型というべき作品でもあります。ショッピングモールに立て籠もるという原作の流れを踏襲しつつも、全力疾走のゾンビを相手にすることでホラー映画としての恐怖は格段にレベルアップしています。登場人物も個性的なキャラが増え、娯楽性の高さでは圧倒的にこちらの方が上です。
その反面、滅びゆく人類のドラマを詩情豊かに描くといった原作の美点は失われていますが、それは致し方ないところでしょう。いずれにしても、本作の成功によってゾンビ映画は完全に復活の流れに乗ることになります。


ショーン・オブ・ザ・デッド(エドガー・ライト監督)
「ドーン・オブ・ザ・デッド」とほぼ同時期にイギリスで公開されたゾンビ映画の傑作です。
「ドーン・オブ・ザ・デッド」が走るゾンビを導入してロメロゾンビのパワーアップを図ったのに対して、こちらはロメロゾンビの上質なパロディ作品になっています。特に、「ドーン・オブ・ザ・デッド」を観た後ではゾンビののろさが余計に際立ちます。あまりにものろいので単なる酔っ払いにしか見えなくて主人公がなかなかゾンビの存在に気付かないあたりの展開が秀逸です。他にも、ゾンビ映画のお約束を上手く外すことで生じるギャグが多く、ゾンビ映画が好きな人にとっては最高に楽しい作品に仕上がっています。ただ、クライマックスに突入するとパロディ要素が後退してしまい、普通のゾンビ映画になってしまったのは少し残念です。ちなみに、2004年春の時点ではゾンビ映画は当たらないと思われていたため、これだけの傑作にも関わらず日本では劇場未公開の憂き目にあっています。
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バイオハザードⅡ アポカリプス(アレクサンダー・ウィット監督)
シリーズも2作目になってゲームの映画化という面がさらに強く打ち出されています。ネメシス、ジル・バレインタインといったゲームでおなじみのキャラクターが登場し、派手なドンパチが繰り広げられていくのが大きな見どころです。ただ、いかにもゲームの見せ場をつなげてみましたといった作品になっていて、ゾンビ映画が持つおぞましい魅力からはさらに後退しています。とは言っても、単純な娯楽映画としては悪くない出来なので、この作品に関しては肩の力を抜いて気楽に見るのが正解でしょう。ちなみに、本シリーズはパート6まで製作され、ゾンビ映画としては希有の長期シリーズとなっていきます。
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2005年

ランド・オブ・ザ・デッド
(ジョージ・A・ロメロ監督)
ゾンビ映画人気再燃の波に乗ってロメロ監督も再びゾンビ映画を作ることになります。とは言っても、彼のゾンビ映画はすべて世界観がつながっているので登場するゾンビは昔ながらの走らないゾンビです。その代わり、「死霊のえじき」に続いて知能や感情を持つ覚醒ゾンビが登場するという他のゾンビ映画にはないオリジナリティが付加されています。ただ、覚醒ゾンビは言葉こそしゃべらないものの、あまりにも人間臭いのでホラー映画としての怖さは随分後退してしまった感があります。その分、人間とゾンビの対立構造が格差社会の縮図に見えてくる点が社会派映画風でもあり、従来のゾンビ映画とは違った楽しみ方ができるのが本作の魅力です。ロメロ監督だからといって王道ゾンビ映画を期待すると肩すかしを喰らうかもしれませんが、ちょっと風変わりなゾンビ映画を見たいという人にはおすすめです。
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2007年

28週後..(フアン・カルロス・フレスナディージョ監督)
映画の冒頭は前作のゾンビ騒動の真っ只中から始まるのですが、全速力で追いかけてくるウイルス感染者たちの怖さが半端ありません。冒頭で逃げている男は妻を見捨て、友人を裏切って生き延びようとするクズです。しかし、こんな状況に追い込まれたらきれいごとなんて言ってられないと、思わず男に同情したくなります。そして、半年後。感染者たちはゾンビでもなんでもなく、ただの人間なので人々が英国から脱出した後は食料を断たれて全員餓死します。やがて、新たな感染の恐れがないことが確認され、英国から逃げ出した人々が戻ってくるのですが、当然の如く、再びパンディミックが起きます。冒頭で見捨てられた妻が生き延びていたのが発見され、しかも彼女はウイルスのキャリアだったのです。妻と再会した男が彼女にキスをしたため、男が発症してあっという間に感染が広がっていきます。前作では暴徒と化した軍と市民との戦いが後半のメインストーリーになってしまい、ゾンビ映画としてはちょっと焦点がぼやけてしまった感がありました。それに対して、今回はパンディミックを最小限に食い止めようとして汚染地域の人間を皆殺しにしていく軍となんとか軍の包囲網を突破しようとする主人公たち、そして、いつどこから襲ってくるか分からない感染者との三つ巴の戦いが繰り広げられます。前作と違って軍の立場も理解できるだけに、より絶望感が深くなり、見応えのある映画となっています。全体のテンポもよくゾンビ映画の中では良作といってよい作品だといえるでしょう。
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REC/レック(ジャウマ・パラゲロ監督)

スペイン発のゾンビ映画。テレビの撮影スタッフが消防士の密着取材をするために通報のあった建物に入ったところ、謎の感染者たちに襲われるという設定です。ただ、作中では感染者たちはゾンビではなく、悪魔憑きと説明されています。そのため、「デモンズ」と同じくオカルト映画の面がある一方でウイルスによって感染するという点がゾンビ的でもあり、ジャンルとしてはボーダーライン上の作品だといえるでしょう。本作の特徴は
1999年の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」以降流行となったPOV方式で撮影されている点です。そのため、低予算映画ながらも臨場感あふれるホラー映画に仕上がっています。POVといえば非常事態になっても決してカメラを手放さずに撮影を続ける登場人物の行動にどうしても不自然さがあったのですが、本作では撮影者をプロ根性あふれる報道スタッフにすることでその問題をクリア。また、POV作品は画面がぶれすぎて、何が起こっているのかよくわからないという声がしばしば聞かれます。かといって、見やすくするととたんに嘘くさくなるというのが頭の痛い問題でした。それに対して、本作は見やすさと臨場感をギリギリのバランスで両立させており、その完成度の高さは歴代POV映画の中でも上位に位置します。さらに、上映時間を80分程度にしてテンポよくまとめたのも功を奏して緊張感を持続させることに成功しています。ストーリー自体は単純でありふれたものですが、ドキュメンタリータッチのゾンビ映画に興味がある人にはおすすめの一本です。ちなみに、本シリーズは4作まで作られていますが、シリーズが進むごとに超能力の要素が出てくるなどしてフェイクドキュメンタリーとしての味わいやゾンビ映画っぽい世界観は失われていきます。
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2009年

ゾンビランド(ルーベン・フライシャー監督)
ゾンビ映画のお約束を踏襲しつつ、それを笑いに転化したコメディ映画です。特に、オタクの主人公が考えたゾンビから生き残るためのルールが的を得ていて笑えます。それに、主人公と一緒に旅を続ける仲間たちもキャラが立ちまくりなのでロードムービーとしても楽しい作品に仕上がっています。コメディ仕立てのゾンビ映画としては「ショーン・オブ・ザ・デッド」と双璧となす存在だといえるでしょう。ただし、あちらが皮肉と社会風刺がたっぷりと効いているいかにも英国風味の映画だったのに対して、こちらはカラッとしたアメリカンな味わいです。どちらが好みに合うか見比べてみるのも一興ではないでしょうか。
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2013年

ワールド・ウォーZ(マーク・フォスター監督)
本作は北米だけで興行収入2億2000万ドルを叩きだし、ゾンビ映画史上最大のヒット作となりました。その見どころはなんといっても津波の如く襲い掛かるゾンビです。走るゾンビの究極形というべき存在で津波というのが全く比喩ではなくなっています。大量のゾンビがものすごい密集隊形をとりながら全力疾走するので食われるという以前に、追いつかれた時点で圧死間違いなしです。しかも、頑強なビルに逃げ込んでも積み重なってピラミッドを形成したソンビが屋上から襲いかかってくるのだから手におえません。その上、噛まれると数秒で発症するという凶悪さです。歴代でもバタリアンとタメを張る最強最悪のゾンビといえるでしょう。そんな彼らの縦横無尽の暴れっぷりは一見の価値ありです。ただ、前半派手な見せ場が散りばめられていた物語は後半急速に失速し、こじんまりとした展開に終始するようになります。未だかつてない迫力で描かれたゾンビ映画だっただけに、画竜点睛を欠く結果となったのは残念です。
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2016年

アイアムアヒーロー(佐藤信介監督

日本でもゾンビ映画自体は色々と作られてきましたが、どれも変化球で真っ向勝負の作品は皆無に等しいというのが現実でした。しかし、ついにその殻を破る作品が現れました。それが本作です。原作コミックのエッセンスをうまく取り入れ、スケールの大きなゾンビ映画を作り上げています。これなら海外作品と比べても引けを取ることはないでしょう。特に、ゾンビ発生によって日常が崩壊していく様は真に迫っており、これぞゾンビ映画といった仕上がりです。映像も邦画にしてはかなり頑張っていますし、配役もうまくはまっています。ソンビ映画として新味に欠けるという問題はありますが、日本でこれだけ完成度の高いゾンビ映画が誕生したという事実に素直に喝采を送りたいというのが正直な感想です。


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「アイアムアヒーロー」と同時期に韓国で公開された高速鉄道を舞台にしたゾンビ映画。ゾンビに噛まれた乗客が列車に逃げ込んだことで車内でパンディミックが発生。しかし、ゾンビの爆発的な増殖は国内全土に広まっており、列車に乗り続けるのも地獄、降りるのも地獄というシチュエーションがサスペンスを盛り上げてくれます。同時に、一難去ってまた一難というたたみかけるテンポの良さも特筆すべきものがあります。また、人間の利己的な部分をリアルに描かれる一方で、登場人物の一人一人が魅力的でキャラの立て方も秀逸です。物語の主軸となっている父娘の関係も過剰にベタつくことなく、うまくゾンビ映画と絡めており、非常にバランスのよい娯楽映画に仕上がっています。ただ、ゾンビの設定に一貫性がなく、ご都合主義が目立つ点はやや減点対象です。
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