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5月16日発表予定の第30回山本周五郎賞の候補作概要と受賞作予想についてまとめてみました。

ずうめの人形(澤村伊智)

オカルト雑誌でアルバイトをしていたライターの湯水は連絡が途絶した後、自宅で死体となって発見される。しかも、その様相は壮絶だった。彼は自分で自分の目をえぐって死んでいたのだ。 発見したのは編集者の岩田と藤間だった。それから1週間後、藤間は岩田から湯水が書き残したという原稿を渡される。湯水の死の原因はこの原稿にあるというのだ。半信半疑の藤間だったが、今度は岩田が死体となって発見される、藤間と全く同じ情況だった。藤間は自らの身を守るために霊能力者のbookkingrain女性に相談をするが...。
澤村伊智氏は『ほぎわんが、来る』で第22回日本ホラー大賞を受賞。デビュー2作目となる本作で山本周五郎賞を受賞とホラー界の大型新人として将来を期待されています。
ずうのめ人形
澤村伊智
KADOKAWA/角川書店
2016-07-28





明るい夜にでかけて (佐藤多佳子)

ラジオのはがき職人としてオールナイトニッボンの『アルピーann』に投稿を続けていた大学生の富山はあるできごとをきっかけに大学を休学し、コンビニのバイトをしながら一人暮らしを始める。そんな彼がアルピーannの強豪職人の女の子や歌い手として活躍しているバイト仲間と出会い、成長していく物語。
佐藤多佳子は1962年生まれ。1989年に『サマータイム』で第10回月刊MOE童話大賞を受賞して作家レビュー。2007年には『一瞬の風になれ』で第28回吉川英治文学新人賞と第4回本屋大賞のダブル受賞を記録します。なお、山本周五郎賞に関しては1998年「しゃべれども、しゃべれども』、2008年『黄色い目の魚』がそれぞれ候補作として選ばれており、今回が3回目の挑戦となります。
明るい夜に出かけて
佐藤 多佳子
新潮社
2016-09-21



満潮 (朝倉かすみ)
自分に8自信がない故に他人の願望をくみ取り、喜ばせることに長けるようになった美しい人妻眉子。そんな彼女を結婚式場で見初め、彼女の夫に取り行って近づいてくる自意識過剰の青年、茶谷。そして、眉子の夫もまた問題のある人物だった。それぞれの狂気が絡まり合い、やがてたどり着く結末とは・・・?
朝倉かすみ氏は1960年生まれ。2003年に『コマドリさんのこと』で第37回北海道新聞文学賞を受賞して作家レビュー。翌2004年には『肝、焼ける』で第72回小説現代新人文学賞を受賞します。そして、2009年には『田村はまだか』で第30回吉川英治新人文学賞を受賞し、大きな注目を集めることになりました。
満潮
朝倉 かすみ
光文社
2016-12-15



不発弾(相場英雄)

大手電気会社で明るみになった1500億円もの粉飾決算。しかし、それが不適当会計という穏当な表現で報道された裏には一体何が隠されているのか?警視庁捜査二課の小堀秀明は内偵を開始するが、そこで浮かび上がってきたのは古賀という男の名前だった。バブル直前の時代に証券会社に入社し、激動の時代を生き抜いた彼が仕掛けた不発弾とは?

相場英雄氏は1967年生。外国語専門学校を卒業後、1989年に時事通信社に入社。2005年『デフォルト 債務不履行』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞(現・城山三郎経済小説大賞)を受賞して作家デビュー。2018年にはBES問題を扱った『震える牛』が30万部の大ヒットを記録する。また、2013年の『血の轍』、2016年の『ガラパゴス』が山本周五郎賞にノミネートされており、佐藤多佳子氏と同じく本作が3度目の挑戦となります。

不発弾
相場英雄
新潮社
2017-04-14




敵の名は、宮本武蔵 (木下昌輝)
12歳で行った初めての決闘から晩年まで。宮本武蔵の誓いを敵側の視点から描いた異色時代劇。
木下昌輝は1974年生まれ。2012年に『宇喜多の捨て嫁』で第92回オール読物新人賞を受賞して作家デビュー。同作品は2015年に直木賞候補にもノミネートされ、第4回歴史時代作家クラブ賞及び舟橋聖一郎文学賞にも輝きます。その後も『人魚ノ肉』では第6回山田風太郎賞、『天下一の軽口男』では第38
回吉川英治文学新人賞の候補に挙げられますが、受賞にはいたっていません。デビュー以来、新作を発表するたびに高い評価を得て時代少小説界の異才の名をほしいままにしている木下氏ですが、本作で初のメジャー文学賞を受賞するかどうかが注目されるところです。
敵の名は、宮本武蔵
木下 昌輝
KADOKAWA
2017-02-25


予想

まず、5作の候補の中で『ずうめの人形』はデビュー2作目というキャリアの浅さが不利に働く上にデビュー作の『ほぎわんが、来る』よりも非の意見が多いという2点から受賞はないと予想します。それに対して、本命と言えるのが『敵の名は、宮本武蔵』です。1作ごとに話題作を発表してきた木下氏ですが、剣豪宮本武蔵を敵側の視点から描いた『敵の名は、宮本武蔵』はこれまで以上に異色傑作と高い世評を得ている作品です。話題性の点からも受賞作として不足はないでしょう。


5月17日追記
山本周五郎賞は佐藤多佳子氏の「
明るい夜にでかけて 」に決定。木下昌輝氏の作品に関しては2作連続ではずれでしたね。3度目の正直はあるのでしょうか?

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