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2017年1月23日に発表予定の大藪春彦賞の候補作概要についてまとめてみました。


真犯人(翔田寛)
昭和49年に男児の誘拐殺人があり、その41年後に身代金受け渡しの場所で男児の父親が殺される。長きに渡る執念の捜査を描いた渾身の警察小説。
翔田寛氏は2000年に『影踏み鬼』で第22回小説推理新人賞を受賞して作家デビュー。さらに、2008年には『誘拐児』で第54回江戸川乱歩賞を受賞しています。知名度はあまり高くありませんが、『消えた山高帽子 チャールズ・ワーグマンの事件簿』など歴史上の人物や出来事にミステリー要素を織り交ぜた作品群が一部で高く評価されている作家です。ミステリーの他には『やわら侍・竜巻誠十郎シリーズ』という時代小説があります。
真犯人
翔田 寛
小学館
2015-10-26


卑怯者の流儀(深町秋生)
裏社会と癒着し、事件解決のためには手段を選ばない中年刑事米沢の活躍を描いた連作小説。バイオレスな悪徳警官が主人公の作品ですが、どぎつい描写は控えめでほどよくコミカルな味付けがなされているため、さらりと読める一級の娯楽小説に仕上がっています。
深町秋生氏は2004年に『果てしなき渇き』によって第3回このミステリーがすごい!大賞を受賞。本作家デビューを果たしました。なお、同作は25万部を突破するベストセラーとなり、2014年には中島哲也監督によって映画化されています。
卑怯者の流儀 (文芸書)
深町 秋生
徳間書店
2016-09-29


リボルバー・リリー(長浦京)※大藪春彦賞受賞
57人の殺人に関与した凄腕の元諜報員リボルバーリリー。彼女は消えた陸軍資金の鍵を握る少年を守るために帝国陸軍の精鋭1000人と相対する。関東大震災後の東京を舞台に描くアクション巨編。
長浦京氏は2012年に剣豪同士の活劇を描いた『赤刃』で第6回小説現代長編新人賞を受賞して作家デビュー。2作目となる本作は、このミステリーがすごい!やミステリが読みたいで上位にランクインするなど高い評価を得ています。
リボルバー・リリー
長浦 京
講談社
2016-04-20


ロスト(呉勝浩)

無断欠勤を続けているアルバイト、村瀬梓を預かったという電話が勤務先の会社にかかってくる。しかも、身代金1億円は100人の警官に100万円ずつ分けて運ばせろという。犯人の目的は一体どこにあるのだろうか?
呉勝浩氏は2015年に『道徳の時間』で第61回江戸川乱歩を受賞して作家デビュー。本作はそのわずか4カ月後に発表された作品です。乱歩賞作品については酷評もあり、受賞をめぐっては物議をかもしましたが、それから短期間の間で大変な進歩を遂げています。3作目の『蜃気楼の犬』も好評でこれからが期待される作家です。
ロスト
呉 勝浩
講談社
2015-12-09


受賞作予想
この4作品の中ではやはり、年末のミステリーランキングで高い評価を受けた『リボルバー・リリー』が本命でしょう。『真犯人』は半世紀近くにのぼる執念の捜査は読みごたえ十分ですが、ストーリーがやや地味、『ロスト』はデビュー作から大きな成長を見せたものの未だ発展途上といった感じです。そうすると、軽やかな筆致で魅力的なキャラクターを描き、作家としての地力を見せつけた『卑怯者の流儀』が次点予想ということになりそうです。

1月22日追記
大藪春彦賞は『リボルバー・リリー』が受賞。こちらも直木賞に続いて大本命がそのまま決めたという感じですね。波乱はありませんでした。


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