最新更新日2016/12/29☆☆☆

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ドント・ブリーズ(フェデ・アルバレス監督)
30万ドルの大金を狙って盲目の老人の家に押し入った3人の若者。しかし、老人は元軍人の精神異常者であり、しかも、異常聴力の持ち主だった。銃を手にした老人は自宅に若者たちを閉じ込め、追い詰めていく。
ホラーというよりもサイコスリラーといった感じの作品ですが、少しでも音を立てれば銃撃されるという設定が斬新で、思った以上に恐怖心を掻き立てられます。しかも、テンポがよくて最後までダレずに見れるのも好印象です。ただし、耳がよいという設定の割に老人が鈍感に思える場面もあり、終盤になるに連れて展開が予定調和になっていったのが、マイナス点。
ドント・ブリーズ [SPE BEST] [Blu-ray]
ジェーン・レヴィ
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2017-10-04


死霊館 エンフィールド事件(ヴェラ・ファーミガ監督)
実話に基づいて作られたウォーレン夫妻シリーズ第2弾。家にとりついた悪魔との対決を描いたもので、ホラー映画として怖いかと言われれば、少なくともホラーを見慣れている人にはあまり怖さは感じないでしょう。恐怖シーンが王道すぎて観客にショックを与える為の斬新なアイディアなどが特にないからです。しかし、怖さはあまりなくても物語の緊張感は最後まで持続しており、演出も撮影も非常に丁寧です。また、人間ドラマとしての充実感もかなりなもので、見ごたえ十分な作品に仕上がっています。小手先のショックシーンに頼らない映画としての完成度が高いホラーです。 
死霊館 エンフィールド事件 ブルーレイ&DVDセット(2枚組) [Blu-ray]
パトリック・ウィルソン ベラ・ファーミガ
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2016-11-09


ロスト・バケーション(ジャウム・コレット=セラ監督)
サメ映画と言えば、サメが空を飛んだり、下半身がタコだったりとイロモノばかり目立つ昨今ですが、本作は今どきありえないほどの王道です。
岩礁の上で孤立したヒロイン。満ち潮で岩礁が沈むまであとわずか。そして、ヒロインを狙う巨大なホオジロザメ。
このピンチをいかに脱するかというシンプルな物語です。いまさら感満載ですが、これが実によくできているのです。的確な演出やカメラワークは場面場面の緊迫感を的確に伝え、ダレることなくストーリーを紡いでいきます。ありがちな美女対モンスターな作品の中ではかなり上位の作品だと言えるでしょう。ただ、それだけにご都合主義が急に透けて見え始める終盤の展開は賛否の分かれるところです。
ロスト・バケーション(初回生産限定) [DVD]
ブレイク・ライブリー
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2016-11-23


アンフレンデッド(レヴァン・ガブリアーゼ監督)
ネットのいじめが原因で自殺した女子高生、ローラ・バーンズ。1年後、彼女の友人たちがskypeを楽しんでいたところにローラを名乗るアカウントが乱入し、彼らはひとりひとり謎の死を遂げていく。
映画の最初から最後までパソコンの画面が映り続け、ネット上のやりとりだけで物語が進んでいくのが斬新で独特の臨場感を生み出すのに成功しています。ただ、skpeの画面が続くので経験がない人には状況が理解しずらいかもしれません。また、登場人物が呪い殺されるシーンもskypeの不鮮明な固定カメラを通してしかわからないため、何が起きているのかはよくわからないのですが、これは恐らく狙ったものでしょう。怖さはそれほどでもなく、作品の主題もホラー描写よりも人間の本性の暴露に主眼が置かれているように感じます。見せ方の目新しさをうまく利用した良作ですが、逆に言えば、アイディアありきの作品のため、シリーズ化するとすぐにマンネリ化しそうではあります。

アンフレンデッド 【Blu-ray】
シェリー・ヘニッヒ
TCエンタテインメント
2016-12-21


貞子VS伽椰子(白石晃士監督)
日本ホラー界の2大スターが激突。『フレディVSジェイソン』の邦画版といった作品です。基本的にお祭り映画であり、今さら貞子や伽椰子に恐怖を感じたりはしませんが、対決の舞台を整えるまでの段取りは丁寧に描かれていて意外と見ごたえがある作品に仕上がっています。ただ、実態のない怨霊同士のバトルを描くというのはやはり難しかったようで、終盤ふたりが激突して以降の展開が腰砕けだったのが残念です。
貞子vs伽椰子
田中美里
2017-02-20


アイアムアヒーロー(佐藤信介監督)
花沢健吾氏によるコミックが原作の日本映画。フォーマットは典型的なゾンビものながらも画面の迫力もこのジャンル特有の残酷描写も邦画としては大健闘しており、見ごたえは十分。しかも、邦画にありがちな、冗長な心理描写を極力排除しているのでテンポよく見れるのがうれしいところです。臨場感を出すための演出にも工夫がみられ、ゾンビ映画としての新しさは特にないものの極めてクオリティの高い作品に仕上がっています。
残穢-住んではいけない家ー(中村義洋監督)
いわくありげなマンションを調査していくうちに芋づる式にやばい話がでてくるというホラー映画なのですが、映画の雰囲気をひと言で言えばひたすら地味です。派手な恐怖シーンを期待していた人はあまりに何も起きないので退屈に感じるかもしれません。その一方で、何気ない日常空間がいつの間にかこの世ならざるものに侵食されていた時のぞわっとした感覚は非常によく描かれています。
いつもと同じ光景なのに、よく見ると茂みや建物の影から誰かがじっとこっちを窺っている。そんな雰囲気の作品です。その視線に気づかなければ単なる冗長な映画ですが、それに気がついてしまうと心の中でどんどん恐怖心が増大してきます。
そのあくまでも観客の想像力にゆだねるスタイルがこの映画の持ち味だったのですが、それだけに終盤、普通のホラー映画になってしまったのが残念です。


グッドナイト・マミー(セヴェリン・フィアラ監督)
森に囲まれた一軒家で母親の帰りを待つ双子の男の子。しかし、戻ってきた母親は整形手術を受けて顔を包帯でぐるぐる巻きにしている上に性格も別人のように変わっていた。彼女は本当に母親なのか?
母親の不気味なビジュアルに加えて、音楽もセリフも極力排した静謐で美しい映像が独特のサスペンスを醸し出す映画です。ただ、雰囲気に頼りすぎて説明不足の感があり、また、オチがわかるとそれまでの作品ではあるのでその辺りが賛否の分かれるところでしょう。

グッドナイト・マミー [DVD]
スザンネ・ベスト
アメイジングD.C.
2016-04-02


イット・フォローズ(デヴィット・ミッチェル・ロバート監督)
ゆっくりと後ろをついてきて追いつくと相手を殺すというitが不気味。itの見た目は普通の人間ですが、次々と姿を変え、気がつくと無表情で自分の後をついてきているというのはかなりの恐怖です。しかも、itは呪われた人間にしか見えないので助けの求めようがありません。助かるための唯一の方法は誰かと肉体関係を持つこと。そうすると、呪いは交渉相手に移ります。でも、その相手が死んじゃうとまた呪いが戻ってくるので、結局は無間地獄が続きます。
設定は斬新で恐ろしさもなかなかです。ただ、惜しむらくはその設定をうまく生かし切れていません。ワンアイデアのみで映画を撮っているため、展開が単調で中盤結構中だるみしますし、この呪いの連鎖からどう脱出するのかというクライマックスの部分にも納得しがたいものがあります。一見の価値は十分ありますが、全体的に非常に惜しいという印象の作品です。
イット・フォローズ(吹替版)
リリー・セーペ
2016-06-22