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5月16日発表予定の山本周五郎賞のノミネート作品と各作品の概要をまとめてみました。

アメリカ最後の実験(宮内悠介)

自分と母を捨てて失踪した音楽家の父を追って、脩はアメリカにやってきた。そして、父がかつて入学したという西海岸の難関音楽学校を受験する。そこで知る演奏者を蝕む<パンドラ>という名のシンセサイザーの存在。そして、学校に侵入した謎の襲撃者によって残された「アメリカ最後の実験」という言葉。謎が謎を呼ぶ中、襲撃事件の報道を契機にアメリカ中で模倣犯が続出する。一体何が起きているというのだろうか・・・。
宮内悠介氏はSF作家として、『盤上の夜』で第33回SF大賞を、『ヨハネスブルグの天使たち』で第34回SF大賞特別賞を受賞しています。しかし、両作ともSF小説としては珍しく直木賞候補になっており、マニアックなジャンルに留まらない小説としての力を感じさせてくれます。そして、本作はSFとミステリーと青春小説をミックスしたハイブリッド作品。その新境地がどのように評価されるかが注目です。

アメリカ最後の実験
宮内 悠介
新潮社
2016-01-29


永遠とは違う一日(押切もえ)
モデルのわがままに振り回されるマネージャー、スランプから抜け出せない画家、アイドルになった女子高生、スタイリス、事務員、助産婦とさまざまな立場の女性たち。人生の岐路にさしかかり、悩み立ち止まる彼女たちに起きる小さな奇跡を描いた連作短編集。
モデルとして著名な著者は、本作が作家デビュー2作目。第2の又吉直樹になるかということで、今回の最注目枠です。
永遠とは違う一日
押切 もえ
新潮社
2016-02-26


ガラパゴス(相場英雄)
身元不明の死者リストの中に混じっていた殺人事件の被害者。彼は沖縄出身の派遣労働者で、自殺に見せかけて殺されていたのだ。捜査一課継続捜査担当の田川は、真相を追って殺された男の足跡をたどるが、そこで見たのは国際競争から取り残され、凋落を迎えた国内産業の実態だった。『ブラック企業』、
『非正規労働者問題』、『偽装請負』、『燃費改竄』など、日本社会の闇を描いた社会派ミステリー。
相場英雄氏は経済記者出身で、経済小説や社会問題を取り扱ったミステリーを得意とする作家。特にBES問題を扱った2012年発売の『震える牛』は30万部のベストセラーとなり、テレビドラマにもなりました。続く2013年には、『血の轍』が第26回山本周五郎賞と第16回大藪春彦賞の候補になっています。

ガラパゴス 上
相場 英雄
小学館
2016-01-26


ユートピア(湊かなえ)※山本周五郎賞受賞

足の不自由な少女久美香の書いた『翼をください』という詩をきっかけにボランティア基金『クララの翼』が設立される。基金を立ち上げたのは陶芸家・星川すみれを初めとする3人の女性。しかし、善意から始まったと思われていたその行為は次第に歪みをみせ、5年前の殺人事件へとつながっていく。
湊かなえ氏はデビュー作『告白』で第6回本屋大賞を受賞。山本周五郎賞も過去に『母性』、『絶唱』がそれぞれ26回と28回の候補となっており、今回は3回目の挑戦となります。
ユートピア
湊 かなえ
集英社
2015-11-26



私は存在が空気(中田永一)
ボッチ少年が、瞬間移動の能力で憧れのマドンナを振り向かせようと奮闘する『少年ジャンパー』。異様なまでの存在感のなさを生かしてバスケ部の先輩をストーキングする少女。小市民的な特殊能力者たちのちょっと不思議でハートフルなラブストーリーを描いた短編集。
中田永一氏は、乙一、山田朝子と計3つのペンネームを持つ作家。ミステリー、奇妙な味、ちょっと切ない系のラノベ風ラブストリーなどを得意とし、乙一名義では、『GOTH』で第3回本格ミステリ大賞を受賞しています。山本周五郎賞も同じく乙一名義の『ZOO』で第17回の候補となっており、今回は12年ぶりのノミネートとなります。
私は存在が空気
中田永一
祥伝社
2015-12-11


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