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1月28日に選考があった第18回大藪春彦賞候補作の概要です。

エアー2.0(榎本憲男)

東京オリンピック前夜、新国立競技場の建設現場で働く中谷は、ひとりの老人と出会う。彼は人間の感情をもデータとして扱い、市場の動きを完璧に予想するエアーというシステムを開発しており、それを使って壮大な計画に乗り出すというのだ。政治家や官僚の窓口として老人に協力することになった中谷。彼が、エアのシステムの提供と引き換えに政府に対して要求したのは、福島の帰還困難地域を経済自由区とし、その運営を自分たちにまかせろというものだった。
著者は現役の映画脚本家であり、映画ゼミナールの講師も務めています。物語のテンポが良く、文章から容易に場面を思い浮かべることができるのはそれらの経験によるものでしょう。
エアー2.0 (小学館文庫)
榎本 憲男
小学館
2016-10-06


革命前夜(須賀しのぶ) ※大藪春彦賞受賞
日本のバブル絶頂期、ピアノに打ち込むために東ドイツに留学した眞山は、そこでふたりの天才ヴァイオリニストと出会う。そのひとり、ヴェンツェルは学内での演奏会でのピアノ伴奏に眞山を指名する。眞山は、彼の激しい気性に振り回されながらも、その音楽的才能に魅了されいった。時は、1989年。密告が日常化した街で、時代の波に翻弄されながらも成長していく青年の姿を描く。
作者の須賀しのぶ氏は、コバルト文庫でデビュー。少女小説という枠組みの中で、軍事冒険小説を手がけ、異彩を放つ存在でした。2010年には、一般レーベルから発売された「神の棘」がこのミステリーがすごい!」で13位にランクインし、以後、一般小説の世界でも注目される存在になります。
革命前夜
須賀 しのぶ
文藝春秋
2015-03-27


戦場のコックたち(深緑野分) 第2次世界大戦中の戦火のフランスで、合衆国陸軍に所属するコックが日常の謎に挑む異色ミステリー
死と隣り合わせである戦場での日常ミステリーという趣向が目新しく、しかも、戦争小説としても一級品。年末恒例のミステリーランキングでは、
「このミステリーがすごい!」2位、「文春ミステリーベスト10」3位、
「ミステリーが読みたい」2位と、いずれも高い評価を得ています。
戦場のコックたち
深緑 野分
東京創元社
2015-08-29


トリダシ (本城雅人)
東西スポーツ野球部のデスクである鳥飼は、その敏腕ぶりが知られているが、特ダネのためにはなりふり構わないために評判は最悪で、社内にも敵が多い。そんな彼の正体を周囲の人間の証言から浮き彫りにしていく、連作短編集。
著者の本城雅人氏は、サンケイスポーツの記者として20年勤めた後に作家デビュー。その経験を生かし、スポーツや新聞記者の現場をテーマにしたミステリーを数多くものにしています。本作もその中のひとつです。

トリダシ
本城 雅人
文藝春秋
2015-07-06


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